交通事故に詳しい弁護士が解説【被害者の5つの鉄則と加害者の3つの責任】

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交通事故被害者が気づかないうちにしがちなミスとは?

人生には、「まさか…」という思いもよらないことが自分の身に起きることがあります。
交通事故も、そのひとつです。

年々、自動車事故の件数は減少してはいますが、いくら気をつけていても、
いつ自分が被害者になってしまうかわかりません。

回復する程度のケガで済めばよいですが、大ケガで後遺症が残ってしまうこともあり、
仕事や生活に大きな支障をきたす場合も少なくありません。

私は、弁護士として数多くの交通事故の示談や裁判にかかわってきました。
その中で、被害者の方がご自身で気づかないうちに、
後から取り返しのつかないミスをしていたということが結構あります。

しかし、これには仕方ない面があります。
事前に交通事故についての知識を持っていない方がほとんどだと思いますし、
事故にあった直後に冷静な判断をするのは難しいものです。

とはいうものの現実的には、この交通事故後の対応ミスは
ご本人やご家族、弁護士がいくら奮闘しても後で取り返すことができません。

まずは交通事故発生から解決までの流れをご覧下さい。

「交通事故解決の流れ 」
流れ

もし、ご自身や周囲の方が交通事故にあった直後でしたら、
次の5つのことに注意して治療や示談を進めてください。

【交通事故被害者を守る鉄則その1】どんなことがあっても一定期間、通院する

交通事故にあってケガをしたときは、すぐに病院へ行きましょう。
また、いくら仕事や私用で忙しくても、一定期間、通院してください。
これは当たり前のことのようですが、忙しいことを理由に間を空けてしまう方がいます。

間を空けてしまうと、後から身体のどこかが痛んできたり、体調が悪くなったとき、
「これは交通事故が原因だ」といくらご本人が主張されても
交通事故との因果関係を立証することが困難になります。

本当に交通事故が原因か、それ以外のことが影響を及ぼしているのか、
医学的に証明できなくなってしまうのです。

ですから、交通事故の直後に必ず医師の診断を受け、
主治医の指示に従って一定期間、通院することが鉄則になります。

通院中に何らかの変化があったときには、
ちょっとしたことでも医師に相談して判断をあおいでください。
そのことがカルテに記載され、後日、客観的な証拠となるのです。

また、少しでもケガの可能性があると思ったときは、病院に行きましょう。
交通事故にあった直後は、たいしたケガじゃないな、
と感じていても後から本格的に症状が出てくることがよくあります。

たとえば、表面的にはかすり傷程度に感じていても、
次第に身体の特定の場所が痛くなる、
頭痛やめまいがするなどの後遺症が出てくるといったケースがあるのです。

これもケガをしたときと同じです。
間を空けてしまったら、交通事故との因果関係の立証が難しくなります。

とにかく迷ったら病院に行くというのが鉄則です。


【交通事故被害者を守る鉄則その2】治療のための費用を抑える

交通事故被害者の方によくある勘違いが、保険会社が後から損害賠償金を支払ってくれるのだから、
治療費を自由に使っていいという思い込みです。

たとえば、入院したときに個室を利用する、
公共交通機関が使える状態なのにタクシーを利用する、健康保険外の治療をする、
などが多いケースです。
しかし、これらの費用が全額、損害賠償金として認められるとは限りません

損害賠償では、必要かつ相当な金額しか認められないのが基本です。
被害者が悪いわけではない過剰診療や高額診療でさえ、認められないケースがあります。

また、まれに医療機関で「交通事故では健康保険は使えない」と言われることがありますが、
これは明らかに間違いです。
そして、健康保険を使わないことで、被害者が損をしてしまうケースもあります。

なぜなら、「過失相殺」というものがあるからです。
過失相殺とは、簡単にいえば、
被害者の方にも事故を起こす原因があったと判断されることがある、ということです。

被害者の過失が認められると、損害賠償額から過失分の金額が引かれて支払われます。
損害賠償額が多くなればなるほど、過失分として差し引かれる金額が多くなってしまうのです。

したがって、治療のための費用を抑えるため、自由診療ではなく健康保険を使う
などの工夫も必要です。

そのときになって、「過失相殺のことを知っていれば、こんな費用は使わなかったのに……」
と嘆いても取り返しがつきません。
もちろん、必要がある方は様々なサービスを利用するべきですが、
被害者の方は適切な治療を受ける努力を自らすべきでしょう。

もうひとつ、注意点としては、治療のときに使用した交通費や雑費などは、
すべて領収書を残しておく
必要があります。

保険会社との示談交渉の際に、口頭やメモで「これだけ費用がかかった」、
といくら主張しても証拠化されていなければ認められない可能性もあります。

【交通事故被害者を守る鉄則その3】実況見分できちんと主張する

交通事故の中でも人身事故の場合、警察が現場状況を確認し、
加害者、被害者双方から話を聞いて「実況見分調書」という書類を作成します。
この実況見分調書は、後々、加害者、被害者の過失割合を決めたり、
示談や裁判で参考にされる重要な書類です。

ここから先がとても大事なことなのですが、この実況見分調書は、
「一度作成されると、後で直すことが難しい」ということです。

ですから、警察官から事故の状況について聞かれたときに、
自分の記憶と違うことを絶対に認めてはいけません。

なぜ、こんなアドバイスをするのかと言いますと、
警察官も事故現場を目撃したわけではないので、予測に基づいて、
「こういう状況だったのではないですか?」と誘導してしまうことがあるからです。

被害者の方が事故直後で動揺していたり、
「後で直せばいいや」という軽い気持ちから警察官の誘導にのってしまうケースがあります。

実況見分において、ちょっとでも違うと思ったら、絶対にゆずらないことが大切です。

【交通事故被害者を守る鉄則その4】証拠をできるだけ集めておく

交通事故で被害者が亡くなり、目撃者がいない場合、事故の状況を証言できるのは加害者だけになります。
そのため、加害者に有利に裁判が進められる傾向があります。
これを覆すには、被害者の家族が矛盾をつく証拠を提示するしかありません。

そのためには、事故直後にできるだけ証拠を集めておくことです。
証拠集めは、事故から時間が経過すればするほど、しにくくなります。
ですから、事故直後にスリップ痕や損傷した車両の写真を撮影しておくなど、
可能な限り証拠を集めておくのが賢明です。

ご家族を交通事故で亡くされたときには、そのショックの大きさははかりしれません。
そんなときに証拠集めなんて……というお気持ちもわかりますが、
これが交通事故被害の現実なのです。

実際に、被害者のご家族の証拠集めの努力によって
加害者に有利な裁判が覆ったというケースもあります。

事故直後の写真が裁判を覆す材料になることもありますし、
事故現場の近くのコンビニの防犯カメラをチェックしたり、
近隣の飲食店に聞き込みをすることで新たな証拠が出てくることもあります。

また、死亡事故以外でも、事故直後は加害者が全面的に過失を認めていたのに、
示談交渉に入ると過失を認めなくなるケースもあります。

このようなことに備えるため、現場の目撃者がいるのであれば、
その方の名前や連絡先を控えておくとよいでしょう。

【交通事故被害者を守る鉄則その5】示談する前に弁護士に相談する

示談については、保険会社の担当者が良い人だからといって、
賠償金額も良いとは限らない
、ということに尽きます。

保険会社の担当者が誠意あふれる印象の方で、
「がんばって当社の最高の金額までもってきました」などと言われてしまうと、
「ここまで一生懸命、対応してもらったのだから……」と、つい判を押して示談に応じてしまうものです。

しかし、後日、その示談書を弁護士のところに持っていくと、
「今回のケースでこの賠償金額は相場よりも明らかに少ないですよ」
といった話になることがよくあります。

示談をしてしまうと後で覆すことができません。
応じる前に必ず交通事故に強い弁護士に相談してください

もちろん、すべてのケースで金額が上がるわけではありませんが、
極端な場合、先方が提示した金額の2倍、3倍になるということもあります。

交通事故の被害に遭ったとき、すぐやるべきこととは?



交通事故加害者に発生する3つの責任とは?

ここまでお話してきた「交通事故被害者の5つの鉄則」をお読みいただいて分かる通り、
一般の方にとって交通事故の対処というのはとても難しいものです。

そして、さらに交通事故被害者を混乱させるのは、加害者に対して、
「刑事」、「民事」、「行政」の3つの責任が発生するということでしょう。

最低限、理解していただきたいのは、
人身事故を起こした加害者には次の3つの責任が生じるということです。

【刑事事件】
刑事責任とは、加害者が「罰金刑」、「懲役刑」、「禁錮刑」などの刑罰に処せられることです。
人身事故を起こした罪、事故を起こしたときに酒酔い運転をしていた罪、
ひき逃げをした罪などがあります。

【民事責任】
民事責任とは、被害者に与えた損害を賠償する責任です。
これには、ケガの治療費、ケガをしなければ得られたと見込まれる収入、
精神的な苦痛に対する慰謝料などが含まれます。

【行政責任】
行政責任とは、加害者が免許取り消しや免許停止などの行政処分を受けることです。

この3つの責任は別々のものです。
ですから、民事責任で損害賠償責任が認められても、
刑事責任では不起訴や無罪になることもあります。

被害者や、そのご家族としては納得がいかない面もあると思いますが、
民事責任と刑事責任はあくまでも独立したものだということを理解してください。

さて、この3つの責任のうち、交通事故の被害者に深くかかわってくるのは民事責任です。
刑事責任は、検事が加害者を裁判所に起訴するもので、
「被害者参加」という制度はありますが、被害者はあまり関与できないものです。
行政責任も行政が加害者に対して行うもので、これも被害者は関与しません。

民事責任は、加害者側(保険会社)と被害者が損害賠償、
つまり、お金で解決をはかるものです。

この解決は話し合いで行われますが、
どうしても解決しないときは、裁判などで決着するしかありません。

交通事故の被害者が加害者の刑事裁判に参加できるか?

交通事故被害者が知るべき基本知識

●自賠責保険と任意保険、2つの保険の関係

交通事故は、まれに遭遇することなので、予備知識がない方がほとんどです。
ここでは交通事故被害者が知っておくべき、いくつかの基本的な知識について
お話したいと思います。

まず、交通事故の被害者の方に理解していただきたいのは、
「自分自身が損害賠償を立証し、
自分で加害者側に請求しなければならない立場にある」
ということです。

被害者なのだから、警察が何とかしてくれるだろう、
保険会社が何とかしてくれるだろう、と他者に依存する姿勢では後々、痛い目にあいます。

被害者の方が交渉していく具体的な相手は、
加害者の加入している保険会社の担当者
になることがほとんどです。
これは、任意保険には、示談代行のサービスがついていることが多いためです。

被害者からすると、加害者本人ではなく保険会社の担当者と交渉することには、
メリットとデメリットがあります。

メリットとしては、加害者本人がすべての損害賠償を行うことができないのが現実ですから、
保険会社と示談の交渉をした方がスムーズに解決するということです。

デメリットとしては、加害者の顔が見えなくなるため、誠意や謝意が見えなくなるということです。

このデメリットがメリットに影響を与えることもよくあります。
被害者からすると、加害者から十分な謝罪を受けていない印象になるため、
気分を害し、示談交渉が円滑に進まなくなることがあるのです。
これは、交通事故の被害者にとって大きな問題ではありますが、
制度上の解決策がないというのが現実です。

また、示談においては、加害者の保険会社の担当者はあなたの味方ではなく、
交渉相手
ということをいかなるときも忘れてはいけません。

ところで、交通事故の被害者の損害を補償するための保険(労災保険を除く)には、
「自賠責保険」と「任意保険」の2つがあるのですが、
特に任意保険会社と交渉をしていく必要があります。

自賠責保険と任意保険の関係は、最低限の補償額を自賠責保険が支払い、
それでは足りない部分を任意保険が支払う
ものです。

交渉を上手く進めていくには、そもそも保険とは何か、
どんな流れで損害賠償が行われるかなどを被害者自身が把握しておく必要があります。

この2つのことについて見ていきましょう。

自賠責保険と任意保険の関係は?

●相手が自賠責保険に加入していないときは?

自賠責保険とは、「自動車損害賠償責任保険」の略で、
運転免許を取得したことのある方はご存じだと思いますが、
自賠責保険は強制加入であり、これに加入していない自動車を運転してはならない
と法律で定められているものです。

しかし、この自賠責保険には限度額があるため、
被害者が死亡した場合や重い後遺症が残った場合に
十分な保障が得られるとは限りません

たとえば、最も重い後遺症が残ってしまった場合、
自賠責保険で支払われる限度額は4000万円です。

通常、最も重い後遺症が残った場合、
自宅のリフォーム費や介護費なども含まれますから、
賠償額は1億円を超えるのが普通です。

この自賠責保険では足りない部分を任意保険がカバーしてくれるのです。
ただし、加害者が必ずしも任意保険に加入しているとは限りません。
任意保険会社とは、「任意」という言葉が示す通り、加入する、
加入しないは運転者の判断に委ねられています。

だからこそ、交通事故にあった直後に、
被害者が任意保険に加入しているか、確認することが大切
になってきます。

あわせて、自賠責保険は強制加入のものですが、
何らかの理由により、加入していないケースもありますので、
こちらも加入の有無を確認しましょう。

万が一、相手方が強制加入であるはずの自賠責保険に加入していない場合は、
「政府保障事業」という制度を利用するとよいでしょう。

これは、無保険者が事故を起こした場合や加害者がどこの誰か分からない場合に、
自賠責保険と同額の補償をしてくれる制度です。

また、被害者自身や同居の親族などの任意保険に「無保険者傷害特約」があれば、
その保険から損害賠償相当額が支払われる場合がありますので確認することが必要です

交通事故の被害者が自分の保険も確認すべき理由


●損害賠償金の中身と過失相殺の意味

では、保険会社が支払ってくれる損害賠償金にはいったい何が含まれるのでしょう?

おおまかに言いますと、交通事故の損害には、
自動車、車内にあったもの、身につけていたものなどの破損である「物損」と、
体に負ったケガや後遺症などの「人損」があります。

この物損と人損を合わせた額が交通事故の損害賠償金になります。
ちなみに、自賠責保険は人身事故だけに適用されるもので、
物損事故には適用されません。
任意保険は人身事故と物損事故の両方に適用されます

ところで、交通事故の示談や裁判において欠かせないキーワードが「過失相殺」です。

交通事故の被害者になったときは、過失相殺を理解することがとても重要になります。

一般の方は、聞き慣れない言葉なので難しく感じるかもしれませんが、
過失相殺とは、「被害者側にも交通事故を起こす不注意があった」と認定されること
です。
この過失相殺は、たとえば加害者70%/被害者30%というようにパーセンテージで示されます。
この割合に基づき、損害賠償金額からその割合が引かれます。

この過失相殺が少し分かりにくいのは、刑事責任で被害者に全く非がない、
つまり、過失がまったくないと認定されても、
民事責任の損害賠償請求では過失があると認定されることがあることです。

被害者からすると、このようなことはなかなか受け入れがたいとは思いますが、
刑事責任と民事責任は基本的には別々のものと考えなくてはなりません。

「交通事故解決の流れ 」
流れ

●保険会社への報告をマメにしよう

さきほど、「保険会社は交渉相手である」とお話しましたが、
一方でマメに報告をすべき相手でもあります。
特に事故直後のケガの治療中は、この報告をきちんと行う必要があります。

被害者に対しては、最終的に損害賠償金が支払われますが、
それまでには期間を要するため、被害者に対してはケガの治療中に、
治療費の費用、(医療機関までの)交通費、休業補償などが一旦、支払われます

この費用は「内払い金」であり、この費用を差し引いて損害賠償金が最終的に支払われるのです。
ケガの治療中には、治療には費用がかかり、さらに収入が減ることが多いため、被害者にしてみれば、
治療中の内払い金というのも非常に重要です。

この内払い金は、被害者のケガの状況、治療の必要性、
休業が必要なことなどを保険会社に理解してもらうことで支払われるものです。

ですから、保険会社に対して、治療状況の報告を正確かつマメに行う必要があるのです。

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