名古屋地判平成18年8月29日(自保ジャーナル1681号)

名古屋地判平成18年8月29日(自保ジャーナル1681号)
年齢 18歳(症状固定時)
性別 男子
後遺障害 外傷性頸髄損傷等
自賠責等級 1級3号
認定された介護費用
症状固定日から4年間は、近親者(45歳の母)による介護のみ
(日額8500円)

その後母が67歳に達するまでは、週3日(年間156日)は職業介護人
(日額1万6000円)、その他の日は近親者介護

母が67歳以降は、年間365日9時から17時までの8時間は
看護師資格を有する職業看護人(日額1万3000円)、それ以外の時間帯は
近親者介護(日額3000円)

介護内容
移動、食事、排尿・排便、入浴等、日常生活動作のほとんど全てに介護を要し、
同人の痙性麻痺、自律神経過反射に対しては、適切かつ迅速に処置を
しなければならず、常時看視が必要である。

夜間でも、褥瘡防止のための体位交換、導尿を約3時間おきに行う必要がある。

介護費用に関する判断
A 近親者による付添看護が行われる場合
原告太郎の後遺障害の内容・程度、原告太郎の介護状況からすれば、
原告太郎の介護に伴う身体的負担は極めて重いと認められるし、夜間も、
導尿、体位交換を頻繁に行わなくてはならないことから睡眠不足が避けられず、
予測できない痙性麻痺や自律神経過反射への対応が必須であることからすれば、
常時原告太郎の状態を看視しなくてはならないことの精神的負担も
極めて大きいということができる。

もっとも、原告太郎の移動の負担を軽減するための天井走行リフト代金が
認められることにより、原告花子の負担は相当程度軽減されると認められる。

よって、近親者による付添看護費は、日額8,500円とするのが相当である。

B 職業付添人による付添看護が行われる場合
a 職業付添人のみの付添看護費
原告花子が満67歳に達した以降は、週3日間、原告太郎には
1日あたり8時間、職業付添人による介護が必要であると認められるところ、
原告太郎の看護につき、看護師資格を有する者による介護が必要か否かに
ついて検討すると、導尿・摘便行為が医行為に該当するとの厚生労働省の
公式見解は存在しないものの、原告花子が行っている導尿と摘便行為は、
カテーテルを尿道に挿入すること、直腸から便を掻き出すことを伴い、
原告太郎の体調及び介護者の手法の適否によっては、身体に対する危険を
有する行為ということができる。そうすると、医師が原告太郎の導尿・
摘便行為には医療資格を有するとの見解を述べていることも併せ考えると、
原告太郎に必要な導尿と摘便については適切な技術を有する者により
行われることが望ましく、原告太郎が利用可能な職業付添人の中で、
かかる技術を有すると認められる者は、本件では看護師資格を有する者
以外に適切な者は見当たらないから、原告太郎の看護につき、看護師資格を
有する者による介護が必要であると考えるのが相当である。

また、単位時間当たりの付添看護費については、「F看護婦・家政婦紹介所」
における標準賃金を参考にすれば、午前9時から午後6時までの8時間
(休憩時間1時間を含む)の基本賃金が9,120円であり、看護師の資格を
有する者を希望した場合には、基本賃金の3割増、紹介手数料が賃金の
13%、交通費として公共交通機関での実費が別途必要になるところ、
賃金は求人者と介護者との話し合いで行われ、前記標準賃金はある程度
高額に定められていると推認されることから、職業付添人を午前9時から
午後6時までの8時間(休憩時間1時間を含む)依頼する場合の職業付添人の
付添看護費は、日額1万3,000円とするのが相当である。

b 職業付添人を補完する近親者の付添看護費
職業付添人を依頼する日の原告花子の付添看護費は、原告花子は、
夜間においても定期的に導尿及び体位交換を行わなくてはならず、睡眠不足、
精神的負担も無視できないことからすると、日額3,000円が相当である。

c 合計
以上を合計すると付添看護費は日額1万6,000円となる。
その他の論点

○公的サービス分を控除すべきか。
→今後、公的ホームヘルパーサービスを利用することを前提として
付添看護費を算定することは、同サービスの存続が確実でないことに
照らせば相当ではない。




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