大阪地判平成17年9月21日(交通民集38巻5号1263頁)

大阪地判平成17年9月21日(交通民集38巻5号1263頁)
年齢 59歳(症状固定時)
性別 男子
後遺障害 四肢麻痺、膀胱直腸機能障害
自賠責等級 1級1号
認定された介護費用
平日(年間313日)は、職業介護(日額1万4000円)と
近親者介護(日額3000円)の併用、
休日(年間52日)は、近親者介護(日額8000円)

介護内容
バイタルサインチェック、褥創の処置、体位変換、排尿及び排便状況の観察、
膀胱洗浄、摘便、洗顔、歯磨き、ひげ剃り、洗髪、爪きり、入浴、清拭、
着替え、おむつ交換、食事及び飲水介助、四肢及び体幹の関節・筋の退化防止
(リハビリテーション)などの作業ないし処置が必要となる。

介護費用に関する判断
家族だけでこれらの介護を負担することができず、週6回の職業付添人
(午前8時から午後7時まで)、週2回の訪問入浴サービスを有料で
受けており、その費用が日額2万2,907円ないし2万8,012円
かかっているほか、吸引器を使用しての痰吸引や栄養補給の際の
胃ろうチューブの接続、管理、摘便などは医療行為であるため、ヘルパーの
来る週6日についても昼間は、原告夏夫が適宜ヘルパーと共に介護にあたり、
夜間や早朝は原告春江が介護にあたり、ヘルパーの来ない残りの1日は
家族で手分けをして介護を担当していること、平成18年3月からは、
現在就労している原告春江が退職して介護に専念し、代わって原告夏夫が
就労する予定であることが認められる。

これらの事実に鑑みれば、平日は職業付添人と近親者による介護を
併用するとして、職業付添人については、今後、介護報酬が見直されたり、
廉価な介護施設や介護サービスが充実したり合理化も予想される
ところから1日あたりの介護費用を1万4,000円とし、近親者に
ついては3,000円と認め、休日は近親者による介護でまかなうとして
1日あたり8,000円と認めるのが相当である。

その他の論点
○在宅介護か施設介護か(被告が施設介護を前提とする算定を主張した)。

→本件事故以降、実際に、相当の期間にわたって自宅介護が行われてきて
いること、胃ろうの処置がなされて以降は肺炎での入院はないこと
(大阪労災病院への入院は主に電動車椅子の操作を習得するための入院と
認められる)、現時点では自宅での介護が可能な状態であり、将来についても、
自宅での介護が不可能になり、施設へ入所しなければならなくなる具体的な
見通しが立っているとは認めらないから、施設入所の必要性は認められないし、
褥創防止への対応など介護もよりきめ細やかに行われていると認められること、
自宅での介護の方が家族と接する機会も多く、QOL(生活の質)の面でも
自宅介護の方がより充実していること、交通事故以外でも自宅で介護を
受けている事例は普通に存在しており、自宅介護が介護の体制として
特別なものとはいえないことに照らせば、原告太郎やその家族が自宅での
介護を希望し、それを前提に損害の賠償を求めることは、交通事故の
被害者として正当な要求と認められるのであって、損害の公平な分担に
反するとはいえず、被告らの主張は採用できない。

○介護保険給付分を控除すべきか。

→介護保険を利用するか否かは、原告太郎らの選択に任されているのであって、
当然これを利用するものとして介護費用を算定することも相当とは認められない。




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