さいたま地判平成18年10月18日(自保ジャーナル1675号)

さいたま地判平成18年10月18日(自保ジャーナル1675号)
年齢 69歳(症状固定時)
性別 女子
後遺障害 四肢麻痺等
自賠責等級 1級1号
認定された介護費用
年間240日間は職業介護実費日額2万7875円
150日間は近親者介護日額8000円
介護内容
平成17年8月3日、C病院に転院した。その後、原告花子は、一時他の
介護施設で療養した後、平成17年9月3日、自宅での療養を開始した。

原告花子は、寝たきりの状態が続いているが、症状固定時とは異なり、
呼びかけにはよく反応するようになった。
現在、原告花子は、職業介護人の介護と近親者の介護を受けているが、
1日の介護内容は、おむつ交換、清拭(体拭)、更衣(衣服の着用)、
タッピング(痰を出しやすくするために背中から腰にかけて体をたたくこと)、
体温と血庄測定、痰吸引、投薬及び胃ろう(胃に管を通して外から栄養分や
薬剤を流し込むこと)、入浴前の摘便、入浴、口腔洗浄(歯磨き)、
水分補給、リハビリ、外出介護等である。

介護費用に関する判断
原告花子は、現在、重度の後遺障害により、日常生活の全てにおいて介護を
要する状態であるところ、原告花子の夫である原告太郎は高齢(原告花子と
同年代と思われる)であり、原告花子を介護することができる状態ではないこと、
同人の長男である原告次郎は、原告花子の別棟で居住しているものの、
民間会社に勤務しており、平日は介護できず、その妻も、平日は就労しており、
介護できないこと、まだ同人の長女である原告春子は、他所に嫁いでおり、
平日の介護はできないこと、したがって、原告花子に対する近親者介護は、
原告次郎ないしはその妻が休日のみ担当できるにすぎず、それ以外の日は
職業介護人による介護に頼らざるを得ないことが認められる。これらの事情に
照らすと、原告花子については、平日は職業付添人の介護が、公休日は
近親者付添人の介護がそれぞれ必要というべきである。

そして、これに要する職業付添人の実費全額と近親者付添人の日額8,000円の
割合による介護料がそれぞれ本件事故と損当因果関係にある損害というべきである。

職業介護料の実費は、日額2万7,875円(基本給2万1,500円、
紹介手数料25%5,375円、食事手当1,000円)、交通費週2,000円
(年52週)と認められるので、これと前記の近親者付添人の日額8,000円
とを基礎に、1年のうち平日を240日、公休を125日として、
原告花子の将来の介護料を算出すると、以下のとおりとなる。

(27,875円×240日+2,000×52+8,000円×125日)×12.0853(余命期間19年
ライプニッツ係数)=94,192,828円

その他の論点
○介護保険給付分を控除すべきか。
→介護保険は、障害者を保護するための制度であり、
これを利用するかどうかは、その障害者の側で選択すべき問題であるから、
現に介護保険の適用を受けていない被害者に対し、加害者が、
介護保険の適用が受けられるから全額の損害賠償は認められない旨の
主張をすることは許されないというべきである。

○公的補助分を控除すべきか。
→弁論の全趣旨によれば、原告花子は、上記機構から未だ介護給付を
受給していないと認められるところ、このように、
介護給付を受けていない者に対し、上記制度の存在を指摘して、
将来の介護料の減額を主張することも許されないというべきである。




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