【裁判例①-④】

【裁判例①】熊本地判平成12年3月1日(自保ジャーナル1345号)
被告の主張:
将来の介護費について、被告が平成12年4月から介護保険制度が開始し
原告の負担額は月額4万2420円となることからそれを基準に
計算すべきである。

裁判所の判断:
「平成12年4月1日からは、介護保険制度が施行されることにより、
本人は施設介護費用の1割を負担することになり、右介護費用は最高で
日額9、740円であることが、それぞれ認められる。そうであれば、
症状固定から内藤病院に入院していた平成11年9月29日までの
16か月分は、完全看護であるから紙おむつ代だけで、その費用は、
合計16万1、280円となる。同日から介護保険制度が施行されるまでは、
入所費用合計16万2、200円と家族会費500円、紙おむつ代
1万0、080円、及び国民健康保険料の増加分1万2、000円の
月額合計18万4、780円がかかることになり」「平成12年3月までの
費用は、110万4、780円となる。」「次に介護保険制度が
施行されてからは、前記日額の30倍の1割である2万9、920円、
家族会費500円、入所に伴う国民健康保険料の増額分1万2、000円の
月額4万2、420円がその費用となり、原告の症状固定時の平均余命が
約13年で、症状固定時から2年後に介護保険制度が施行されること、
将来分の中間利息の控除をホフマン係数を用いて、算出すると、
405万1、000円(千円未満切捨て)が損害となる。結局、
合計531万7、060円が介護費用となる」と判示した。

上記裁判例は、介護保険制度が始まる1ヶ月ほど前に出された判決であるが、
その中で、介護費用の算定にあたり、介護保険制度が開始されるまでの
期間と開始されてからの期間に大きく分けた上で、開始されてからの将来の
介護費用について、介護保険からの給付予定分を除く自己負担分1割のみを
損害とした。

【裁判例②】大阪地判平成13年6月28日(自保ジャーナル第1431号)
事故時40歳男子が1級3号四肢麻痺障害を残した事案
裁判所の判断:
「介護保険による給付を受けるには介護認定審査会による要支援、
要介護認定を受ける必要があり、要介護の程度によりサービスの支給限度額が
定められているから、原告が当該制度を利用する意思を有していたとしても、
当該制度を利用できるかどうか、どの程度の給付を受けることができるかは、
必ずしも明らかとはいえないことに加え、そもそも介護保険法21条が、
第三者の行為によって給付事由が生じた場合に、市町村から当該第三者に
対する代位請求及び支給停止の規定を設けていることからすれば、
現実に給付が支給された場合にそれが損害の填補として損益相殺の
対象となるものと認める余地はあるものの、現実に支給されていない将来の
給付見込分について、第三者が損害賠償の責を免れるものと解すべき
理由はない」としている。

【裁判例③】さいたま地判平18年10月18日(自保ジャーナル第1675号)
事故時68歳女子が四肢麻痺等1級1号障害を残した事案
裁判所の判断
:「介護保険は、障害者を保護するための制度であり、これを利用するか
どうかは、その障害者の側で選択すべき問題であるから、現に介護保険の
適用を受けていない被害者に対し、加害者が、介護保険の適用が
受けられるから全額の損害賠償は認められない旨の主張をすることは
許されない」「被告らは、原告花子は、Dからの公的補助が可能であるから、
この分を将来の介護料から控除すべきであると主張する。しかし、弁論の
全趣旨によれば、原告花子は、上記機構から未だ介護給付を受給していないと
認められるところ、このように、介護給付を受けていない者に対し、
上記制度の存在を指摘して、将来の介護料の減額を主張することも
許されないというべきである」と判示している。

【裁判例④】大阪地判平成12年10月30日(自保ジャーナル第1403号)
事故時5歳男子が中枢神経及び精神障害の併合2級の後遺障害を残した事案
被告の主張:
原告が平成67年には65歳になり介護保険制度の適用があるのだから
平成67以降は自己負担額以上の介護費を認めるべきではない。

裁判所の判断:
「平成67年以降に、現行の介護保険制度がそのまま維持されているとは
認め難く、被告らの主張は採用できない」とし、将来の不確実性を
理由として控除を否定した。




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