⑩ 京都地判平成17年3月31日(自保ジャーナル第1601号)

事故時年齢 52歳
性別 男性
職業 ダンプ持込み運転手
傷病名 頭部外傷Ⅰ型,両肩打撲,胸部打撲,腰部打撲
自賠責認定等級 3級3号(両上肢の知覚低下,両肩筋萎縮,両手の巧緻運動障害,
下肢の軽度筋力低下等)

原告の主張した喪失率 少なくとも5級2号相当の79%と主張
本判決認定喪失率 56%

備考
本事案は,判決において脊髄損傷が否定された事案ではあるが,
労働能力喪失率の評価について参考になると思われることから挙げた。

事案の概要(双方の主張および裁判所の認定)
本事案において原告は,「症状固定後の平成14年9月ころからリハビリ治療に
専念し,その結果,肩を90度近くまで挙げることが可能となり,
さらに平成15年4月末ころから外出による歩行訓練を行ったが,なお,
左上肢の用廃,両肩の筋力低下,用廃に伴う拘縮,歩行時には杖に依存する
状態は持続しており,上記等級に該当するし,少なくとも,等級表5級2号
(79%(著者注))に該当する」と主張した。

これに対し,被告は,原告には頸随損傷,頸随麻痺,両肩拘縮,
両手巧緻運動障害はみられず,現状も健常人と変わりがないとして,
逸失利益額を争った。

双方の主張立証を踏まえて,裁判所は,「原告に外傷性頸椎脱臼や
骨折はなく,外傷性頸随空洞症の発症も認められないから,原告に
遅発性頸随損傷が発生したとまでは認めることはできず,日常生活の
動作から四肢麻痺,手指巧緻運動障害により上肢が用廃したとまでは窺えないが,
なお,肩関節可動域は通常人の半分程度に制限されており,原告には
頸椎後縦靭帯骨化症及び骨棘形成の素因があって,これが寄与して項部痛,
肩関節部痛,両上肢の知覚低下,筋力低下などの症状が増悪長期化したと
認めるのが相当である。そして,上記の症状に照らせば,原告の後遺障害は,
神経系統の機能又は精神の障害のため,精神身体的な労働能力が一般平均人の2
分の1程度に低下しているものとして等級表7級に相当すると認められ」ると
判示して,56%の喪失率を認定した。

分析
裁判所は,原告の状態を総合的に判断した結果 56%の喪失率という判断を
下している。この背景には,消極的な事情として①原告が常に杖を持って
歩行するものの,比較的歩行は滑らかであり,自力で自動車のドアを
開閉することができること,②喫茶店で右手にコップを持ち左手でタバコを
吸っている姿が確認されたこと,③首にかけたタオルを両手で持ち,
顔や首を拭いている姿が確認されたこと,④食事中,右手で箸を持ち,
左手でコップを持ちビールを飲んでおり,両上肢をあげることができること
等の事実があり,他方,積極的な事情として自動車の運転はできない状態に
あったという事実がある。




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