② 裁判例:さいたま地判平成16年1月14日自保ジャーナル1529号

事故時年齢 19歳
性別 男性
職業 無職(ただし稼働予定あり)
傷病名 第一腰椎脱臼骨折,脊髄損傷,両下肢不全麻痺等
自賠責認定等級 別表1級3号
本判決認定喪失率 100%
事案の概要
本事案は,第一腰椎脱臼骨折、脊髄損傷、両下肢不全麻痺等の傷害を負い,
症状固定後,両下肢麻痺,膀胱直腸障害の後遺症が残り,自賠責から1級3号の
認定を受けた原告が,等級通り100%の労働能力喪失率を主張したのに対し,
被告が,リハビリテーションセンターの記録から,被害者が,
リハビリテーションの成果として,寝返り,排尿,排便,ベッド移乗,
浴室移乗が完全自立の域に至っていたものとして,現時点において母の
介護を要するものではないと主張し(現時点で全介助をしているとすれば
被害者がそれに頼っており,抜け出せなくなっているだけ),また,
上肢機能に異常がないことを指摘して,事務系の仕事や,軽作業に就くことが
容易であるから,その労働能力喪失率は,9級10号相当の35%程度であると
主張した事案である。これらの主張を踏まえ,裁判所は,「人的物的施設の
整った病院以外の場において,両下肢麻痺,膀胱直腸障害の後遺障害を
負った原告武将が,排尿,排便等に全く介助を必要としない状態に
なり得るかは極めて疑問であるというべきである上」,被害者は,
「発熱,下痢の症状をしばしば起こすことが認められ,そうであれば,
原告武将が,たとえ上肢機能に異常がないとしても,継続的に就業することは
実際上極めて困難であるというべき」として,その労働能力喪失率を100%と
認定した。

分析
本事案においても,被害者は,上肢機能に異常がない(少なくとも可能性)
点が指摘されているが,上肢機能に異常がなかったとしても,諸症状の
総合的判断において,発熱,下痢の症状をしばしば起こすこと(前提として,
排尿排便に全く介助を必要としない状態となり得るかが疑問とされている)
を重視して,100%の喪失率を認定している。




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