裁判例③

裁判例③東京地判平成15年8月28日
(自保ジャーナル第1525号)
年齢: 21歳(事故時)
性別: 女子
傷害内容: 開放性脳損傷、脳挫傷、右眼球破裂、外傷性てんかん等
自賠責等級: 高次脳機能障害1級3号等
被害者側の状況
右大脳半球の広範な脳萎縮及び脳室拡大、左前頭葉の脳挫傷、左不全麻痺、
左知覚鈍麻等の後遺障害
精神年齢(MA)8歳2か月(生活年齢〔CA〕23歳)知能指数35
介護内容: 生活のほとんどの場面において介助までは要しないが、
常時の監視ないし促しは必要
認定された介護費用
介護人母67歳まで:日額合計1万1692円(近親者日額8000円、
職業介護人日額3692円)
介護人母67歳以降:職業介護人日額2万4000円
原告の請求: 被害者の介護の程度は常に職業付添人の介助を要する程度に
重いものであり、被害者の両親には被害者の介護は不可能である。

【上記介護費用の認定に至った理由】
裁判所は、被告らが選定した介護業者が見積もった金額などから、被害者
(原告花子)に対する職業付添人による介護費は、1日当たり13時間の
介護を要することから、最低でも1日に2人の職業付添人が必要となり、
現時点では、1日当たり4万円を下回ることはないものと考えられるとしつつも、
「今後、介護方式が多様化されることは容易に予想されるところ、
多様化された介護方式の中では、原告花子のように、肉体的な負担は
比較的少ないが常時の監視を主とする介護サービスについては、肉体的な
負担の大きい介護よりも介護費としては安価な介護方式が提供されるであろう
ことは、合理的に予測される。そうであれば、将来の制度の見直し等による
介護費の変化を正確に予測することは極めて困難ではあるものの、原告花子が
死亡するに至るまで現在の介護費の価格水準がそのまま維持される蓋然性は
低いというべきであり、損害の控えめな算定という観点からすれば、原告らの
主張する金額を前提として原告花子の死亡までの将来の介護費を
算定することは、被告らに極めて酷な結果をもたらし、妥当ではないと
いわざるを得ない。」とした。

さらに、原告らが一時金による損害賠償を求めるのであれば、原告花子の
症状固定時における平均余命である62年もの長きにわたって現在の介護費の
価格水準が維持されるか否かという蓋然性に基づいて判断せざるを得ないとし、
上記のとおり、その蓋然性は低いものと考えられるとした。

以上の事情を総合考慮し、職業介護人のみによる場合の原告花子の将来の
介護費を、4万円の6割に相当する1日当たり2万4000円を基礎として
算定するのが相当であると判示した。

【本裁判例の特徴】
本裁判例は、原告花子の病状から、1日に2人の職業介護人が必要である
ことを認め、現時点では介護費用として1日4万円を下回ることはないと
しつつも、今後、介護方式が多様化されることは容易に予想されるところ、
肉体的な負担は少ないが常時の看視(監視)を主とする介護サービスに
ついては安価な介護サービスが提供されるであろうことは合理的に予測される
などとして、その6割に相当する金額での介護費を認めたものである。

前記裁判例②とは、将来的に安価な介護サービスが提供されることが合理的に
予測されるか否かでその判断が異なったため、実費を基礎として算定されるかの
判断も異なることとなったと思われる。




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