裁判例②

裁判例②福岡地判平成17年7月12日
(自保ジャーナル第1612号)
年齢: 69歳(事故時)
性別: 女子
傷害内容: 急性硬膜下血腫、脳挫傷、開放性頭蓋骨骨折、両肺挫傷等
自賠責等級: 高次脳機能障害等1級1号
被害者側の状況
重篤な高次脳機能傷害のため、記銘力低下、歩行障害、幼児性が著明で
易興奮性あり。
被害者は日曜を除く週6日、デイサービスを受けている。
近親者介護人(被害者の長男)は自営業者で、仕事をセーブして時間を捻出し、
被害者の身体介助等を行っている。

介護内容: 常時介護
認定された介護費用
平日・土曜日:日額合計2万9392円(近親者日額4000円、
デイサービス実費及び職業介護人日額2万5392円)
日曜日:近親者日額8000円
原告の請求:
平日・土曜日:職業介護人日額2万5392円及び近親者日額1万円
日曜日:近親者介護であるが、介護を行うに当たって受ける肉体的・
精神的疲労の度合いは、職業介護人の比ではないとして平日・土曜日の
近親者及び職業介護人の日額合計と同じ日額3万5392円

【上記介護費用の認定に至った理由】
本裁判例は、まず
①デイサービス・職業介護人による訪問介護の費用について、被告からの、
今後介護保険の給付割合や保険適用の範囲が変更されれば、介護ビジネスにも
様々な影響があり、付添い以外の介護サービスが廉価で利用できる介護施設等が
充実すれば、職業的付添いよりもそちらを選択することも考えられ、
介護産業が発達し、介護の内容、程度による料金体系の細分化や合理化も
考えられるとする主張に対して、「予測される原告花子の生存期間である
今後十数年の間に、各種介護サービスがより廉価で利用できるようになる
具体的な見込みが存することを認めるに足りる証拠はなく、現時点で
利用可能な介護サービスを使用する場合に実際に要する実費を基礎として
将来の介護費用を算定せざるを得ないというべきである。」とし、実際に
要する実費全額を損害と認め、また、未だ支給が確定していない将来の
介護保険給付(予定)額は控除すべきでない(最高裁平成5年3月24日
大法廷判決・民集47巻4号3039頁参照)とした。

一方、
②近親者介護費については、原告からの、職業介護人による介護と
近親者介護とで介護費に差異を設ける根拠はない旨の主張に対して、
「近親者による介護は、介護のプロとして専門的サービスを供給する
職業的介護との質的な違いがあることは否定できず、金額に差があることは
やむを得ないものというべきである。」とし、デイサービス・職業介護人に
よる訪問介護が利用できない日曜日については、近親者介護費を
日額8000円とし、デイサービス等を利用できる曜日においては、
近親者介護費を日額4000円とした。

【本裁判例の特徴】
本裁判例は、他の裁判例では実費よりも低額に抑えられがちな職業介護人の
介護費用について、各種介護サービスがより廉価で利用できるようになる
具体的な見込みが存することを認めるに足りる証拠はないとして、現時点で
利用可能な介護サービスを使用する場合に実際に要する実費を基礎として
将来の介護費を算定した点及び、近親者による介護と職業的介護との
認定介護費用の差について、両者に質的な違いがあることは否定できず、
金額に差があることはやむを得ないとしている点に特徴がある。




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