裁判例①

裁判例①名古屋高判平成19年2月16日
(自保ジャーナル第1688号)
年齢: 5歳(事故時)
性別: 男子
傷害内容: 脳挫傷、外傷性脳内血腫、左撓骨骨折、症候性てんかん、
気管支喘息、遷延性意識障害、両肩拘縮、左視神経損傷、右視神経萎縮、
両結膜炎、両足変形
自賠責等級: 高次脳機能障害等1級3号

被害者側の状況
脳挫傷後遺症、てんかん、左片麻痺、麻痺性構音障害、左顔面神経麻痺、
精神遅滞、左撓尺骨癒合につき変形癒合、両眼の視神経萎縮の後遺障害
高次脳機能障害により知能年齢(精神年齢)が3歳程度、自制力に乏しく
自己の行動の危険性について十分な理解力はない、補助具や介助なしでの
独歩はできない、食事動作は不十分ながら辛うじて自立、衣服の着脱、
排泄には介助を要する。12歳で身長157㎝、体重55㎏と体格が
良いため身体介助には体力を要し、職業介護人は2人1組で介護に当たっている。

介護内容: 常時の見守り及び身体介助
認定された介護費用
被害者18歳まで:日額合計1万5000円(近親者日額5000円、
職業介護人日額1万円)
介護人母67歳まで:日額合計2万円(近親者日額5000円、
職業介護人日額1万5000円)
介護人母67歳以降:職業介護人日額3万円
控訴人(第1審原告)の請求

被害者の母親が日中働くことを前提に、
①被害者が養護学校在学中の介護費用は曜日によって異なり、近親者日額
2500円から5000円、職業介護人日額7500円から2万1610円、

②被害者卒業後母親が67歳に達するまで近親者日額2500円、
職業介護人日額2万1610円、

③母親67歳以降、職業介護人日額3万5310円

【上記介護費用の認定に至った理由】
裁判所は、近親者介護人である母(控訴人花子)が現在は被害者(控訴人太郎)の
介護と仕事を両立させつつより多い収入を得るため夜間勤務の仕事を
しているものの、夜間控訴人太郎が1人になることへの不安や控訴人花子が
病後の体であることから来る健康上の不安から、控訴人太郎に職業介護人を
付すなどして自分は日中の勤務に戻りたいと考えていることなどを認定した。

また、控訴人花子一人による介護を長期化させることは控訴人花子の
健康面から著しい困難が伴うものと認められるとした。

控訴人太郎の将来の介護費用は、まず「症状固定時から控訴人太郎が
養護学校高等部を卒業する18歳までの11年間」については、日中の
養護学校に通学していない時間帯に職業介護を付し、夜間早朝や休日は
親族である控訴人花子が介護することを前提に介護費用を認定した。

その費用については、
①控訴人らの依頼により介護事業者が試算した見積もりは他社との比較が
なされていないこと、

②現在の豊田市の援助によるヘルパー派遣が1時間当たり約2,296円で
あること、

他方、
③養護学校には休業期間もあることを考慮して、職業介護につき1日
当たり1万円、控訴人花子の介護につき1日当たり5,000円とした。

次に「控訴人太郎が養護学校高等部を卒業後、控訴人花子が67歳に
達するまでの24年間」については、日曜日を除き自宅で朝8時から
夜7時まで職業介護を付して、夜間早朝や休日は控訴人花子が介護する
こととして、職業介護につき1日当たり1万5,000円、控訴人花子の
介護につき1日当たり5,000円とした。

更に、「控訴人花子が67歳に達した以降」は、全日について職業介護人に
よる介護が必要となるものとし、その額は、1日当たり3万円とした。

【本裁判例の特徴】
介護体制の変化に対応した介護費用を認めているだけでなく、被害者の病状と
その体格から職業介護人が2人1組で介護に当たっている点を重視し、
実費としてかかる日額3万7075円まではいかないものの、比較的高額な
介護費用を認めた。




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