近親者介護から職業人介護による介護へ

近親者介護から職業介護人による介護への変更についても、職業介護人による
介護が行われる蓋然性が認められなければならない。

裁判例においては、近親者による介護が実質的に可能と思われる年齢である
67歳までは近親者介護の日額で計算し、それ以降の平均余命までの期間に
ついて職業介護人による費用で計算されることが多い(後記裁判例①、③、⑤)。

また、介護体制が変更することを考慮しつつも、平気余命まで全期間あるいは
一定期間について同じ日額で計算するものもある
(東京地平16・1・20自保ジャーナル第1529号等)。

裁判例 東京地判平成16年1月20日
(自保ジャーナル第1529号)
年齢: 22歳(事故時)
性別: 男子
傷害内容: 急性硬膜下血腫、脳挫傷、右肘頭骨折、左手関節骨折、
肺挫傷等
自賠責等級: 高次脳機能障害等1級3号、4級視力障害等で併合1級
被害者側の状況
高次脳機能障害(記憶障害、理解力・判断力低下等)、左半身の完全麻痺・
拘縮等の後遺障害
日常生活動作(ADL)が自立していないため、その介護は主に被害者の
父が行っている。

介護内容: 常時介護
認定された介護費用
症状固定日から口頭弁論終結時まで:近親者日額8500円
口頭弁論終結後、被害者平均余命まで:日額1万5000円
原告の請求
介護人父67歳まで:
①年間240日(平日):職業介護人日額2万円
②年間125日(休日):近親者介護日額1万円
介護人父67歳以降:職業介護人日額2万円
本裁判例は、被害者(原告太郎)の症状、同人に対してなされている
介護の現状、近親者付添人の職業・年齢等の諸事情から、介護方法につき
細分化して検討すると、原告太郎の余命終期である53年間を大きく
4つに分けて考察するのが相当であるとし、近親者の年齢、就労状況に応じて、

①近親者による介護が行われる期間、

②主として職業付添人が中心となり、補助的に近親者付添人による介護が
併用される期間

③主として近親者付添人が中心となり、補助的に職業付添人による介護が
併用される期間

④職業付添人による介護が行われる期間

に分けた上で、それぞれの期間にかかる介護費用について介護を行う者、
介護の具体的内容等から、

①の期間につき日額8500円、
②の期間につき日額2万1000円、
③の期間につき日額1万1000円、
④の期間につき日額2万7000円

としつつ、「今後、介護方式が多様化されることが予想され、また、
原告太郎のように、常時の監視を主とする介護サービスについては、
介護費の変化を正確に予測することは極めて困難であり、原告太郎の
推定される余命の長きにわたって現在の介護費の価格水準がそのまま
維持される蓋然性は低いというべきである。そうすると、損害の控えめな
算定という観点からすれば、原告太郎の余命終期までの将来介護費につき
細分化して算定することは相当ではなく、近親者による付添が難しくなる
平成16年7月5日から原告太郎の余命終期である平成65年までの
49年間につき、職業付添人と近親者付添が併用される場合及び職業付添人に
よる場合の各介護費を全体を通じて検討するとき、上記期間における
付添介護費の日額は、少なくとも1万5,000円と認めるのが相当である。」

とし、①の期間以降の職業介護人の介護が加わる期間については定額の
金額を認定した。




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