まとめ

上記裁判例をみると、裁判所は労働能力喪失率の認定にあたり、次のような
事情を考慮していることがわかる。

すなわち、

①就業に関する事情(現在就業しているかどうか、就業し始めた後
退職せざるを得なくなった事情があるか、就業意欲の有無・程度、周囲の
協力その他の状況によっては就業可能か、現在の就業の様子等)、

②改善可能性(医証上の回復傾向、リハビリ状況等)、

③コミュニケーション能力に関する事情(人格障害・易怒性・易興奮性の程度、
他人との会話が成り立つかどうか、本人尋問で質問に対して的確に
応答できるかどうか等)、

④生活の自立度(1人暮らしをしているか、金銭のやりくりをできるか、
車を運転できるか等)、

⑤本人尋問の不出頭(医証上は回復傾向が窺われ、かつ本人尋問に出頭できない
合理的な理由がないという状況で、本人尋問に出頭しないという事情)

等が考慮されている。
以下の表を参考にされたい。

喪失率を増加させる事情: 喪失率を減少させる事情

① 就業に関する事情
・現在就業していない。:・現在就業している。
・就業の意欲がない。:・事故前の職場に復帰した。
・一旦就業し始めた後、退職をせざるを得なくなった。:・収入が事故前と
同様、事故前より増加している。
・職場でのトラブル、ミスが多い。:・就業の意欲がある。
・現在就業できているとしても、それは周囲の援助があるからであり、
将来就労を継続できる可能性は低い。:・単純な作業に限定すれば就業できる。
・就業の見込みがたっていない。:・周囲の協力その他の状況によっては
就業が可能である。
・予想外の状況に対応することができない。 :・今後就業していくことが
不可能とはいえない。

② 改善可能性
・医証上、回復傾向がみられない。
・リハビリの成果は期待できない。(リハビリの意味を理解できない。)
・医証上、回復傾向がある。
・リハビリによる回復可能性がある。
・リハビリの成果が出ている。
・てんかんは服薬により発作を抑えることができる。

③ コミュニケーション能力
・本人尋問の際、ほとんど的確に応答することができなかった。
・人格障害、易怒性、易興奮性があり他人とのコミュニケーションに支障が
出ている。
・他人との会話が成り立たない、支障が出ている。
・社会との接触を拒絶している。 ・本人尋問の際に、質問に対して的確に
応答できた。

④ 生活の自立度
・1人暮らしはできず、人の援助を受けて生活している。
・金銭のやりくりを1人でできない。 ・1人暮らしをしている、
できていた。
・金銭のやりくり(預金解約、カードローンの手続等)を1人でできる。
・1人で電車、バスに乗って通勤している。
・1人でタクシーを利用できる。

⑤ 本人尋問の不出頭
・医証その他の資料によれば回復傾向が窺われ、かつ本人尋問に出頭できない
合理的な理由がないにもかかわらず、本人尋問の出頭を拒否した
(鑑定の実施を拒否した)。




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