上記認定に至った理由

まず、原告は「常時仕事を指示し、指導してくれる存在がいなければ
不可能であって、一般人と同様の労務に服することができない」状態で
あるから7級4号に該当すると主張した。

これに対し、裁判所は、

①「…(事故から1年2ヶ月後、及び約2年後に実施された)…各種記銘力検査や
高次脳機能検査の結果において、原告の記銘力等の脳機能が正常範囲に
あったこと」、

②「原告が…(事故の4ヶ月後)…から一人暮らしをしていたこと」に加え、

③「原告は、本人尋問の際、原被告代理人及び裁判所からの質問に対し、
概ね、その意味を十分に理解した上、適切な回答をしていた」こと

を考慮して、上記原告の主張を退けた。
次に、被告は、

①a「本件事故による受傷直後に認められた原告の失見当識や記銘力障害は
その後快方に向かい、受傷から約1年を経過した時点で施行された高次機能検査の
結果はほぼ正常範囲にまで改善し、集中力の低下、学習能力の低下、記憶力の
低下等の原告の訴えは自覚的なものと捉えられること」、

b「慢性期における頭部CT検査、MRI検査及び脳波検査等においても
異常が認められなかったこと」などの事情に照らすと、「本件事故により
原告が受傷したびまん性脳損傷の程度は中程度のものであって、一般の
就業や日常生活に大きな支障を来すような重篤なものではなかった」こと、

②「原告の現在の主訴である「躁うつ状態」には、司法試験を目指す
不安定で不規則な受験生活、アルコールの過度の摂取、被害妄想に起因する
心的不安感、情緒不安定など、非器質性の要因が関与しているとみられ、
リハビリ、生活改善、職業訓練等を通じて、今後の労働能力の向上改善が
大いに期待できるものである」ことを挙げて、原告に残存した後遺障害は
12級程度に該当するに過ぎないと主張した。

これに対し、裁判所は「原告に画像所見上軽度の脳萎縮が窺われること」
を理由にこの主張を退けた。

そして、裁判所は、

①本件事故によるびまん性脳損傷に起因して、記銘力が若干低下し、
1回の刺激で記憶できる量がいくぶん減少したこと、

②画像所見上も軽度の脳萎縮が窺われることといった事情に照らし、
9級10号に該当すると判示した。




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