上記認定に至った理由

原告は、「神経系統の機能又は精神の障害については、本件事故の前とは異なり、
記憶障害、構成障害、語想起障害等の認知障害と、感情易変、不機嫌、攻撃性、
暴力、自発性・活動性の低下等の人格変化が生じて」いること等を理由に
7級4号、併合5級(喪失率79%)を主張した。

裁判所は、
①「原告は、頭部外傷を受けた後に神経及び神経症様症状が発現し、
その症状が残存していることは認められるが、医学的に知能低下や明らかな
人格変化については証明されているものとは認め難いと判断される」、

②「頭部外傷で人格変化等の精神障害を来す場合は、脳実質に明らかな
損傷があり、画像では脳の萎縮、脳室拡大等の変化を呈することが脳損傷の
たどる典型的な経過とみられることから、提出の画像について検討した結果、
左側頭骨骨折、頭蓋底骨折及び頭蓋内の出血、すなわち、硬膜外血腫が
認められ、受傷時に2日間のJCS20(刺激すると開眼)の意識障害が
あったことから、相当強い外力が頭部に加わったことは認められるが、
経時的に撮影された頭部画像についての検討では、脳萎縮、脳室拡大等の
変化はなく、脳実質を損傷したとする明らかな所見はみられなかった」、とし、

③「そうすると、頭部外傷後に原告に残存している症状は、めまい、受傷部の
しびれ等の神経症状のほかは、…(そのほかの後遺障害)…に随伴すると
みられる外傷性神経症として評価することが妥当なものと認められ、
少なくとも受傷時の意識障害の程度、頭部画像、症状所見等から
高次脳機能障害のような明らかな脳の器質性障害とは認められないものと
判断される」とし、

原告の前記主張を退け、9級10号を認定した。

なお、上記認定の根拠として以下のような内容の医証が挙げられている。
すなわち、

①自覚症状は「めまい、しびれ(顔面と思われる)」とされ、「脳外傷による
精神症状等についての具体的な所見」では、精神障害、性格障害について
特に異常とされる所見はみられない、

②高次機能検査の結果、明らかな知能低下はないと思われますが、軽度の
左側頭葉障害も否定できない(事故前との比較ができないため正確な評価は
できないが)、また、精神科によれば、軽度の過敏衰弱徴候があるが、
これが後遺症として還元できるかは不明であり明らかに頭部外傷による障害と
確定はできないが、疑わしいという状態である、

③「記憶・構成・語想起の障害」との病名で同年6月時点で障害が存在するが、
その時点では明らかな痴呆とはいえない、この症状が平成12年7月に
受傷した頭部外傷と関連するかどうか断定はできないが可能性は否定できない、

等の医証が挙げられている。




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