上記認定に至った理由

裁判所は、
①事故により意識不明となり救急病院に搬送された時点では意識レベルが
極めて低く、事故から約10日後に意識レベルが改善された、

②脳挫傷、外傷性くも膜下出血等と診断された、

③MRI検査において、

a脳梁後半部の萎縮と同部内の結節性信号異常域(陳旧性軟化巣を示唆する)
が認められる、

b周囲の脳質周囲深部白質の軽度萎縮も認められる、

cびまん性軸索損傷後性変化が示唆される像である、

d小脳上半分皮質と上小脳脚の萎縮を認める、

e脳梁後半部、小脳上半分皮質と上脳脚萎縮及び脳梁後半部内陳旧性軟化巣
;びまん性軸索損傷後性変化が示唆される、と診断されている、

④画像診断において、脳梁後半部に特徴的な行為の抑制障害(脳梁性失行)
は認められないが、本人の訴えでも、注意力障害、殊に分配的注意の障害を
認め、2つ以上のことを同時に行う上で困難がある、

⑤全般的なびまん性軸索損傷に伴う変化として、記銘力障害、言語性記憶障害
(意味記憶の障害、見当識障害、短期記銘力障害)が認められる、

⑥原告の勤務する会社の社長が原告の後遺障害により仕事に支障が
出ていること

を具体的に述べており、それらの事情は前記の検査結果等にも整合する、
とし自賠責認定と同等の喪失率を認定した。

原告の勤務する会社の社長は、原告の後遺障害による仕事の支障について
以下のような書面を作成した。すなわち、「①電話を受け、内容をメモして
おきながら、他の作業をすると電話を受けたことを忘れる、②撮影手配書の
内容についての質問に対し説明しても、当日一つか二つ忘れる、③販売関係の
書類の記入見本と記入方法を説明しても、再度質問したり、通常人が5分で
記入するのに20分も時間がかかる、④売上日報に注文か掛売りかを確認して
記入しなければならないのに、確認を忘れて全て注文と記載したり、写真の
発送先を間違えたりする、⑤写真発送の際、振替用紙を入れ間違えたり、
クーポン券の発送の際、伝票を入れ間違えたり、基本的に仕事の流れが
理解できていない、⑥仕事の段取りを忘れ、アルバイトによく説明できない、
⑦電話の受けた内容の説明を受けても正確に伝わらず、再度電話を入れる
ことが多い、⑧平成14年6月から新しい職場に変わったが、そこでも同僚の
理解、協力、支援が必要となる。」といった内容の書面であった。

なお、原告は、てんかんの症状があることから労働能力がさらに制限される
旨主張していた。

これに対し、裁判所は、①事故から約5年経過後にはてんかんの症状が
出現しておらず、②現在は抗てんかん薬の投与を受け、少なくとも2年間は
投薬を続け、その間発作がないことを確認し、徐々に減量の予定とされて
いることから、原告の労働能力が67歳を超えて制限されていると認めることは
困難であり、原告がてんかん治療を受けていることは後遺障害慰謝料算定の
事由とするのが相当であると判示した。




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