分析

本裁判例は、高次脳機能障害について、総論的に次の記載を行なっている点が
特徴的である。

「高次脳機能は、知識に基づいて行動を計画し実行する精神活動であり、
高次脳機能障害は、頭部外傷後に生じる記憶障害や人格変化を主徴とする
障害である。

高次脳機能障害の典型的な症状は、全般的な認知障害と人格変化
(人格変化のことを行動障害ともいう)であり、認知障害として、
記憶・記銘力障害、集中力障害、遂行機能障害、判断力低下、病識欠落、
具体的には、新しいことを学習できない、複数の仕事を並行して処理できない、
行動を計画し実行することができない、周囲の状況に合わせた適切な行動が
できない、危険を予測・察知できないなどがあり、人格変化(行動障害)
として、感情易変、不機嫌、攻撃性(易怒性)、暴言・暴力、幼稚、
羞恥心の低下、多弁(饒舌)、自発性・活動性の低下、病的嫉妬・ねたみ、
被害妄想などがある。

そして、このような高次脳機能障害を持つ患者は、生活を管理できない、
対人関係を維持できない、社会参加ができない、障害を自分で
自覚できないなどが問題として指摘される。

高次脳機能障害は、広範囲の脳損傷あるいはびまん性の脳損傷が原因である
場合が多く、高次脳機能障害の患者は、就学や就労ができず、家庭での時間を
無為に過ごすことになり、家族ともども社会的に孤立しがちになり、また、
家庭内での軋轢が高じて本人だけでなく家族への負担も大きくなる。

そして、脳外傷による高次脳機能障害の診断には、①頭部外傷急性期の
意識障害の程度・期間、②家族、介護者が気づく日常生活状況、③急性期から
慢性期を通じての脳画像所見、特に脳室拡大の3つの視点が欠かせず、
これを補足するものとして、神経心理学的検査や、同僚、上司、教師などの
観察、小脳失調、痙性片麻痺などの神経所見がある。」




  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ページトップへ

0120-949-753

このページの先頭へ