上記認定に至った理由

原告は、
①知能の大きな低下はみられないが記憶障害・記銘力障害は極めて重篤であること

②本件後遺障害は単純繰り返し作業に限定すれば原告に一般就労を可能とさせる
程度のものであるが、新しい作業の学習ができなかったり、環境が変わると作業が
継続できなくなったりすること

から、原告の作業能力は一般人に比べて著しく制限され、就労の維持には職場の
理解と援助を欠かすことができないとし、この障害は5級2号所定の
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に
服することができないもの」に該当すると主張していた。

他方、被告は、

①原告が本件事故後に大きな回復をみせ、自転車通学や単独での外出が
可能となり、高校を卒業して専門学校に入学していること

②診療録や各種検査記録から記銘力障害に回復が認められること

③医師が「単純繰り返し作業や簡単な応用動作は自立できると思われること、
及び、作業の手順が悪く、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と
同等の作業は行なうことはできないが一般就労を維持できる」と就労能力の
改善を裏付ける診断をしていること

④性格変化もそれに伴う不穏な言動もなく、日常生活において近親者による
介護あるいは介助が必要な場面は一切認められないこと

から、本件後遺障害は7級相当程度であり、労働能力喪失率は56%程度と
主張していた。

裁判所は、

①性格変化として自発性・活動性の低下が見られるが、感情易変、不機嫌、
攻撃性(易怒性)、暴言・暴力、病的嫉妬・ねたみ、被害妄想などはないことから、
原告が家庭内で問題になる軋轢を生じさせることはなく、一定の社会参加が
可能であること

②記銘力が著しく低下し、これに関連した遂行機能障害が認められるため、
単純繰り返し作業などに限定すれば一般就労も可能であるが、新しい作業を
学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなったりすると
いった問題があること

から、原告の作業能力は一般人に比べて著しく制限され、就労の維持には
職場の理解と援助をかかすことができないと判示して、本件後遺障害は
5級2号所定の「神経系統の機能又は精神に著しい傷害を残し、特に軽易な
労務以外の労務に服することができないもの」に該当し、これによる
労働能力喪失率は79%であると認めるのが相当とした。




  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ページトップへ

0120-949-753

このページの先頭へ