上記認定に至った理由

原告は、原告が就労することは到底不可能であるから、労働能力喪失率は
本来100%であるが、自賠責保険の後遺障害等級認定に従い92%を主張した。

他方、被告は、
①事故後、原告が大学に進学していること

②原告の様子をビデオ撮影したところ、ギター・ピアノ演奏のほかパンクの
修理までしていたことから、労務内容の制限は受けるが一般就労を
維持する能力は認められること

③国の支援プログラムや通所施設での訓練を通じて、広い職種の選択が
可能となること

を指摘して、原告の高次脳機能障害は9級(労働能力喪失率35%)
程度が相当であると主張した。

裁判所は、
①リハビリの結果、携帯電話でメールを送ることができたり、ギターを弾いたり、
近所で買い物ができるなど事故後の症状の改善がある程度認められ、
ある程度の認知・判断能力及び新しいことの学習能力を備えているということが
できるが、現在においてもなお、初めての場所では道に迷う、ストーブの火を
つけたまま忘れてしまうなどの物忘れ症状があるため、認知障害・記銘力障害が
相当程度改善されたとはいえないこと

②事故後大学へ進学しているが、これは原告自らの力で授業の内容を理解し、
他の学生と同様に課題や試験をこなして得られた結果・成績ではないため、
これによって原告が学力・能力を有しているとの認定はできず、むしろ、
授業についていけないため、現在は大学にいかなくなっていること

③父親の店の手伝いが長続きしておらず、通常通りの労働が期待できるとは
言い難いこと④暴力行為に至ることはなく、また、家族以外の他人に
向けられることは少ないとしても、易怒性・易興奮性が認められ、
コミュニケーション等対人関係を正常に築くことには困難があること

から、「原告の症状、特に高次脳機能障害については、症状固定時より
改善している部分があるものの、なお障害を残しており、労働能力への影響が
大きく減ぜられたとまでは評価できない。」とし、原告の現状は、
単純繰り返し作業などに限定すれば一般就労も可能だが、新しい作業を
学習できなかったり、環境が変ると作業を継続できなくなるなどの問題が
あるため、一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の
維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないものというべきとして、
高次脳機能障害は第5級2号(併合4級)が相当とし、
喪失率は92%と判示した。




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