裁判例⑰名古屋地判平成16年10月6日(交通民集37巻5号1354頁)

裁判例⑰名古屋地判平成16年10月6日(交通民集37巻5号1354頁)
年齢: 21歳(事故時)
性別: 男子
職業: 住宅用外壁板の検査作業(事故時)。事故後同じ職場に復帰。
傷害内容: 頭蓋骨陥没骨折、脳挫傷等
自賠責等級 :高次脳機能障害9級10号
比較基準喪失率: 35%
本判例等級: 不明
本判例認定喪失率: 27%
概要: 21歳男性について、判断力や集中力、記銘力等の低下が見られるが、
事故前と同じ仕事をこなし、減収も生じていないことを理由に、
10級相当の27%を認定した。

a 上記認定に至った理由
原告は、事故前の同じ職場に復帰している点について、そうは言っても、
①判断力や集中力の低下、複数の作業を並行処理する能力の障害及び記銘力の
低下等に悩まされていること、②従前と同水準の労務に服しているとは
いえないこと、③現在の労務をこなすのに特段の努力を必要としている
状態であること、④そのような状態は事故後4年間を経過しても改善の傾向は
見られず、むしろ悪化しているから高次脳機能障害による判断力、集中力及び
記銘力等の低下といった症状は一生涯継続し、将来の昇進にも悪影響を
及ぼすこと等を考慮すれば、喪失率は9級10号を基準に35%とするのが
相当であると主張していた。

他方、被告は、本件事故後の治療ないし回復状況及びその後の就労ないし
収入状況などに鑑みれば、喪失率が20%を上回ることはないと主張していた。

裁判所は、①原告の仕事上の作業能率が悪くなったり、ミスが増えたりしたこと、
②事故前と比べて減収がないのは原告の努力と会社の一定の配慮による面が
あること、③現在の勤務体制での勤務を継続することは困難であり、
勤務体制の変更等により将来の減収は否定できないこと、④症状固定から
4年近くが経過した時点でも原告の症状は継続しており、その症状が
一定期間で改善すると認めるに足りる証拠はないことを、喪失率減少の
事情として挙げ、他方で、⑤原告は比較的早期に元の職場に復帰し、
ミスが増えたとしても従前の仕事をこなしていること、⑥原告の努力等による
面があるとしても減収していないことを併せ考慮し、喪失率を27%と認定した。

b 分析
本裁判例は、自賠責等級が9級10号(喪失率35%相当)であるにも
かかわらず、これより低い27%の喪失率を認定している点に特徴がある。
より低い喪失率が認定された理由については、原告が①事故の1ヶ月後に
事故前と同じ職場に復帰したこと、②事故前と同じ業務に従事していること、
③給与収入や賞与が事故前と比較して事故後に増加し減少していないことが
結論に大きく影響を及ぼしたものと思われる。




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