裁判例⑨広島高裁松江支部判平成16年11月5日

裁判例⑨広島高裁松江支部判平成16年11月5日
(自保ジャーナル第1577号)
年齢: 20歳(事故時)
性別: 男子
職業: 会社員
傷害内容: 脳挫傷、左大腿骨折
自賠責等級: 高次脳機能障害3級3号
比較基準喪失率: 100%
本判例等級: 高次脳機能障害5級2号
本判例認定喪失率: 79%
判旨: 20歳男子会社員が、自賠責認定高次脳機能障害3級3号を
残した事案につき、定時制高校に通学・卒業し、一人で外出、
買い物をしている等から、就労可能性を否定することはできず、
後遺障害は5級2号とし、労働能力喪失率は79%と認定した

a 上記認定に至った理由
裁判所は、①自動車教習所に通うほか、定時制の工業高校に通学し
卒業していること②一人で徒歩あるいは自転車に乗って外出し、買い物を
していることから、就労可能性を否定することはできず、後遺障害等級は、
特に軽易な労務以外の労務に服することができないものとして5級2号に
相当すると認めるのが相当であるとして、100%の労働能力喪失率を
認めた原判決を変更し、労働能力喪失率を79%と判示した。

b 分析
本裁判例は、3級3号の高次脳機能障害(「自宅周辺を1人で外出できるなど、
日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声かけや、介助なしでも
日常の動作を行なえる。しかし、記憶や注意力、新しいことを学習する能力、
障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、
一般就労が全くできないか、困難なもの」)を認定して労働能力喪失率
100%とした一審判決と異なり、原告の高次脳機能障害を5級2号と
判断して79%の喪失率を認めた点に特徴がある。もっとも、本裁判例に
おいて、就労可能性を否定できない事情として挙げられているのは
「定時制の工業高校に通学し卒業していること、一人で徒歩あるいは
自転車に乗って外出し、買い物をすることができること」等の原告の
状況のみである点に注意されたい。




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