裁判例⑥東京地判平成8年2月28日(自保ジャーナル第1177号)

裁判例⑥東京地判平成8年2月28日(自保ジャーナル第1177号)
年齢: 60歳(事故時)
性別: 男子
職業: 兼業農家従事者(事故時)
傷害内容: 脳挫傷、頭蓋骨骨折等
自賠責等級: 高次脳機能障害7級
比較基準喪失率: 56%
本判例等級: 同上
本判例認定喪失率: 70%
概要: 60歳男性について、5級に該当する程度にまでは至っていないものの、
7級としては重篤な部類に属しており、今後外部に勤務して収入を得ることは
ほとんど不可能として、労働能力喪失率は70%と認定した。

a 上記認定に至った理由
裁判所は、後遺障害等級については特段の理由を述べることなく自賠責の
認定どおりに7級を認定した。

労働能力喪失率については、以下のとおり判示した。

すなわち、「原告の後遺障害は、右不全麻痺が生じ、知能テスト等も著明な
機能低下が認められる高次脳機能障害であること、症候性てんかんに対する
抗けいれん剤の投与の必要がある状態であること、医師から軽易な労務以外の
労務は困難であると診断されており、原告が、1人で日常生活を送ることは
極めて困難な状態であることが認められる。さらに、本訴訟における
原告本人尋問においても、原告は、ほとんど尋問にも耐えられない状態で
あることが認められる。以上によれば、原告の後遺障害の程度は、
「終身にわたり極めて軽易な労務の外服することができないもの」という
後遺障害等級5級に該当する程度にまでは至っていないものの、後遺障害等級
7級としては重篤な部類に属していると認められ、原告が今後外部に勤務して
収入を得ることはほとんど不可能であると認められることも考慮すると、
原告は、その70%の労働能力を喪失したと認めるのが相当である。」と
判示した。

b 分析
本裁判例は、高次脳機能障害の等級を自賠責認定と同様の7級
(喪失率56%相当)としながらも、自賠責の等級認定を大きく上回る
70%の喪失率を認めた点に特徴がある。通常よりも高い喪失率を認めた
理由は、①症候性てんかんに対する抗けいれん剤の投与の必要がある
状態であることや、②原告本人尋問において、原告がほとんど尋問に
耐えられない状態であったことを重視した点にあると思われる。




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