後遺症逸失利益による将来介護費用の補完

軽度の看視または声掛けを必要とする将来介護費用については、実質上、
労働能力喪失の一部分として補完し、後遺症逸失利益に含まれて解釈されてきた
とする考えがある(吉本智信『高次脳機能障害と損害賠償』142頁以下
※同文献は「看視」を「監視」としている)。

この考えによると、例えば等級認定3級の患者のケースの場合において
次のように考える。

看視をする者の声掛け(指示)に応じて、実は簡単な労務であれば行うことが
可能となるような患者の場合、1人で居れば終身労務に服することが
できないが、誰か指示する看視者を傍に付けることで労働生産力が生まれ、
労働能力喪失率100%ではないという状況になる。

100%の労働能力喪失率である3級認定患者に看視を付けたことで、
生産性が生まれ、実際の労働能力喪失率は80%程度にまで減退し、
実際には後遺障害5級程度に相当する労働能力喪失率となる。

3級認定患者に軽度の看視・声掛けに要する日額3000円の介護費用を
損害と認めるのであれば、労働能力喪失率は80%程度に減退して
逸失利益算定するのが実態をより反映した損害賠償の判断であるといえ、
結局、損害賠償において、軽度の看視・声掛け程度の介護費用は、
個別損害費目と認めるかわりに、後遺症逸失利益が補完的役割を
担ってきたのではないだろうか考えるものである。

3級以下の患者に対する介護費用の認定にあたって、参考になる一つの
考えといえるのではないだろうか。




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