看視、声掛けの必要性

一方、高次脳機能障害の内容として、記憶障害、認知障害、情動障害などの
精神障害があるため、周囲の人間は、その障害によって高次脳機能障害者が
引き起こす様々な事態に対処し、あるいはそのような事態が起こらないよう
注意し、障害者が適切な行動をするように導かなければならない。

高次脳機能障害者がどのような行動をとるのか、どのような行動が
できないのかはそれぞれの障害者によって様々であるが、特に頻繁に報告の
なされる、火の消し忘れによる事故、あるいは自傷行為や他者への暴行などを
防ぐためには、周囲の者による見守りという意味での看視が欠かせない。

また、生活の上で自ら何をすべきかわからないような障害者に対しては
その行動を指示し、適切な行動をするように導く声掛けが欠かせない
こととなるのである。

自賠責の等級認定にあたっても、補足的な考えの中に「家族からの声掛けや
看視を欠かすことができないもの」(2級)、「声掛けや、介助なしでも
日常の動作を行える。」(3級)などと明記され、その考えが
取り入れられていると言える。

なお、自賠責においては「看視」、労災においては「監視」(1級、2級)
という用語が使われている。

両者の意味する内容は、実際にはそれほど違いがないと思われるものの、
「監視」には、「悪事が起こらないように見張ること」(新村出編『広辞苑』
第6版630頁)という言葉の意味があり、そもそも高次脳機能障害者は障害の
影響によってやむなくそのような行動をとってしまっているのであって、
適切な表現とは思えない(同じ考えとして、羽成守編『新型・非典型型
後遺障害の評価』186頁)。そのため、本書でも「看視」という用語を
用いて説明していくものとする。




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