介護保険制度における要介護認定と自賠責等級との関係

介護保険制度においても、その介護状態に応じて以下のような仕組みで
要介護度認定がなされる。

(介護保険制度における要介護認定の仕組み)

1 要介護認定とは
○介護保険制度では、寝たきりや痴呆等で常時介護を必要とする状態
(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が
必要になった状態(要支援状態)になった場合に、介護サービスを
受けることができる。

○この要介護状態や要支援状態にあるかどうか、要介護状態にあるとすれば
どの程度かの判定を行うのが要介護認定であり、保険者である市町村に
設置される介護認定審査会で判定される。

○要介護認定は介護サービスの給付額に結びつくことから、その基準に
ついては全国一律に客観的に定める。

2 要介護認定の流れ(介護保険法27条)

○介護認定審査会は、保険・医療・福祉の学識経験者より構成され、
高齢者の心身の状況調査及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定の
結果(一次判定)と主治医の意見書等に基づき審査判定を行う。

3 要介護認定基準について

要介護認定は、「介護の手間」を表す「ものさし」としての時間である
「要介護認定等基準時間」を下記基準にあてはめ、さらに痴呆性高齢者の
指標を加味して実施するもので、「要介護認定等に係る介護認定審査会に
よる審査及び判定の基準等に関する省令(平成11年4月30日厚生省令第58号)」
として定められている。

要介護認定等基準時間の分類
直接生活介助: 入浴、排せつ、食事等の介護
間接生活介助: 洗濯、掃除等の家事援助等
問題行動関連行為: 徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
機能訓練関連行為: 歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練
医療関連行為: 輸液の管理、じょくそうの処置等の診療の補助

要介護認定等基準
要支援1: 上記5分野の要介護認定等基準時間が25分以上32分未満
またはこれに相当する状態

要支援2: 要支援状態の継続見込期間にわたり継続して常時介護を
要する状態の軽減または悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、
要介護認定等基準時間が32分以上50分未満である状態、またはこれに
相当する状態

要介護1: 上記5分野の要介護認定等基準時間が32分以上50分未満
またはこれに相当する状態(要支援2の状態を除く。)

要介護2: 上記5分野の要介護認定等基準時間が50分以上70分未満
またはこれに相当する状態

要介護3: 上記5分野の要介護認定等基準時間が70分以上90分未満
またはこれに相当する状態

要介護4: 上記5分野の要介護認定等基準時間が90分以上110分未満
またはこれに相当する状態

要介護5: 上記5分野の要介護認定等基準時間が110分またはこれに
相当する状態

後述するように、介護保険制度は、年齢及び障害の原因によって給付対象者を
制限しているため、交通事故による後遺症によって上記基準に当てはまる
要介護状態となった者が必ず要介護認定を受けられるわけではない。

もっとも、仮に交通事故の被害者が上記基準によって要介護認定を
受けられる場合には、要介護度と自賠責等級との間にはどのような
関係があるのであろうか。

結論からいうと、両者には全く共通性はないと考えられる。

これは判断基準が異なる以上当然ともいえる。ただ、要介護度5と
自賠1級とはだいたい対応し、また、要介護度5、4、3だと自賠責等級の
1,2級のどれかに当たる可能性はあるだろうが、要介護度の2と1では、
自賠法上の1,2級とはなりにくいという意見がある
(日本交通法学会編『交通法研究』第30号103頁)。

これには、要介護度認定がなされ、そもそも介護が必要な状態であると
介護保険制度で判断されたにもかかわらず、自賠法上の介護を要する
後遺障害等級である1、2級に該当しないのは矛盾なのではないか
という反論も考えられる。

しかし、両者の介護認定の仕方はそもそも違い、たとえ自賠責等級に
おいて1、2級でなかったとしても、何らかの介護が必要な状態は十分に
考えられるため、両者の整合性が特に問題となることはないと思われる。

実際に、それぞれの認定における当事者の主張立証の問題はあるにしても、
介護保険制度の要介護認定の申請がなされたが市町村の判断で非該当と
された事案において、自賠責等級は1級の認定がなされ、裁判においても
自賠法上の基準に則った損害賠償が認められた裁判例もあり
(大阪地判平成17・9・29)、また、自賠責等級1,2級でなくとも、
介護費用の認められた裁判例は多数存在する
(大阪地判平成20・4・28自保ジャーナル第1750号)。




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