介護の要否と後遺障害等級

自賠責保険の後遺障害等級については、本章Ⅲ2「自賠責における
障害等級認定基準」(○頁)で述べたように、第3級までの高次脳機能障害の
等級認定は以下のような基準に従って判断される。

別表第1第1級1号:
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な
身の回り動作に全面的介護を要するもの

別表第1第2級1号: 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
随時介護を要するもの
著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することが
できず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。
身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に
必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの

別表第2第3級3号:
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することが
できないもの
自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。
また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。
しかし、記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、
円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が
全くできないか、困難なもの

別表第2第3級3号が、「終身労務に服することができないもの」と
されているように、上記3つのいずれの等級も、労働能力喪失率は
100%とされている。
ところが、保険金額は、別表第1第1級1号が4000万円、
別表第1第2級1号が3000万円、別表第2第3級3号が2219万円と
異なった金額となっている。

従来、自賠責保険では、後遺障害者に対する介護に要する費用が
保険金支払いの対象外とされていた。

そのため、たとえ介護が必要な後遺障害があっても、「神経系統の機能又は
精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」であれば、第1級3号として
3000万円の保険金額、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
随時介護を要するもの」であれば、第2級3号として2590万円の
保険金額が定められているのみであった。

しかし、平成12年6月28日の自賠責保険審議会答申において、「重度の
後遺障害者の状況を踏まえれば、今後は介護に要する費用を保険金と
しても支払の対象とすべきである。」「また、その際には、介護を要する
重度の後遺障害者に対し、逸失利益等については現行の保険金限度額を
適用した上で、それとは別枠で介護に要する費用を支給することとし、
それに係る限度額を設定すべきである。」などと指摘されていたことからも
分かるように、遷延性意識障害のように介護が必要な障害が残存した
場合には、従来の保険金額では到底自賠法の目的である「被害者の保護」
を図ることができないと考えられるようになった。

そこで、平成14年4月1日から施行された平成13年政令519号によって、
介護を必要とする後遺障害に適用される別表1が新設され、後遺障害等級の
表は、別表1と別表2の二つにわかれることとなった。このように別表1が
新設されたことによって、介護が必要な場合の自賠責保険金額を、
常時介護の場合には4000万円、随時介護の場合には3000万円と
それぞれ引き上げられることとなったのである。

このように、高次脳機能障害において適用される別表第1第1級1号及び
別表第1第2級1号と別表第2第3級3号との基本的な違いは、
介護を要する後遺障害であるか否かということになる。




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