双方が認められない場合

CT・MRIは確かに一応の信頼を得ている検査方法ではあるものの、
精度差があり、画像の撮り方によっても差が生じうる。

また、意識障害、画像所見の双方がない場合であっても、高次脳機能障害では
ないと即断するのではなく、あくまでその認定をより慎重なものと
するにとどめるべきである。

具体的には診療にあたる各医師がいずれも頭部外傷による高次脳機能障害で
あると診断することなどが必要かと思われる。

もっとも、意識障害がないのであるから、上記のとおりびまん性軸索損傷の
存在については消極的になる。

なお、後記裁判例(札幌高判平18・5・26)は、一定期間の意識障害がなく、
またCT・MRI等の画像所見もない事案において、神経心理学的な検査による
評価に、PETによる脳循環代謝等の測定結果を併せて、びまん性軸索損傷の
有無を判定するとした。

しかし、PETによる画像が神経軸索そのものを撮影しているものではなく、
脳内のどの部分の機能が活性しているかについて、一定の合理的推定ができる
可能性があっても、神経コードの断線を直接推定できるものではないため、
「CTあるいはMRI上異常なし、脳損傷に伴う身体所見なしで患者の訴え
のみがある」場合に「PETで脳代謝の低下が出たときに、脳外傷が原因と
判断していることは明らかな行き過ぎのように思われる」とされており
(「高次脳機能障害と損害賠償」吉本智信103頁)、また平成19年報告書に
おいても、「PETによる脳機能検査所見を、因果関係の有無や障害程度判断の
根拠とするには、検査手法としてなお一層の確率を待つことが穏当と整理した」
としている。




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