神経心理検査およびその他の機能検査

高次脳機能障害を客観的かつ定量的に判定することは難しい。

もっとも、外傷性の高次脳機能障害に特徴的である情動障害には容易に
使えるテストが存在しないが、認知障害には定量的に計るテストは存在し、
行動障害にも一応は定量的に計るテストが存在する。

これらの検査について、高次脳機能障害認定システム検討委員会
「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムについて」と題する報告書
(平成12年12月18日)では、以下のように報告されている。

「脳外傷による高次脳機能障害が認められる被害者に対して、
ごく一般的に行われている神経心理学的検査としては、言語性IQや
動作性IQを検査するWAIS-R(成人知能検査法)、言語性の記憶を
検査する三宅式記銘力検査などがある。 

これらの検査は、脳外傷による高次脳機能障害の特徴的な症状である
ところの認知障害を評価するにはある程度適したものであるといえるが、
もう一方の特徴的な症状であるところの人格変化を評価するものではなく、
人格変化の評価法については現在もなお検討がなされている。

当検討委員会の各種症例検討においても、知能検査の結果は
比較的良好であるにもかかわらず人格変化が顕著であったため、
社会生活適応能力に支障が生じるケースのあることが明らかにされている。

したがって、神経心理学的検査の結果は、高次脳機能障害の症状の一部を
表しているにすぎないというべきであり、この検査だけで重症度(等級)を
判定することは適当ではない。

保険実務上の対応としては、前期(1)の診療医の具体的所見を補足する
資料として活用することが望ましい。 

なお、高次脳機能障害が重症の場合、神経心理学的検査の実施自体が
困難なケースもしばしば見られる。」

このように報告される理由は、多くの心理検査が被験者が最大限努力することが
前提とされるため、詐病や神経症、注意力障害まで含めると客観的に常に
正しい結果が得られるとは限らないこと、多くの心理検査は回復の過程を
定量的に評価するために使われていることが多く、その人の特定の時点の
1回のみの得点で異常かどうかの評価に使われているわけではないこと等
によると思われる。

もっとも、この報告からは、神経心理学検査の結果は、これのみで重症度判定の
資料とされるには至らないものの、診療医の所見の「補足」的資料とはいえ
保険実務での活用が望まれており、臨床判定の際の有効な手段として相当の
役割を果たしていると考えられるので、以下に整理して記載する。




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