裁判例⑤(脊髄障害・素因減額)

裁判例⑤ 名古屋地裁平成18年12月15日(交通民集第39巻第6号1763頁)
年齢 47歳(症状固定時)
性別 女子
事故状況
夜間、原告が、道路左端に寄せて停車させていた自動車に乗車中、後方から走行して来た被告運転の自動車が
減速することなく追突した。なお、被告は当時酒気を帯びた状態で被告車を運転しており、追突するまで
原告車に気付かなかった。

後遺障害等級
原告主張:12級12号
自賠責:不明
裁判所認定:併合12級(と思われる)
原告の主張する傷害及び後遺障害
傷害:頭部外傷、頚・背・腰部挫傷
後遺障害:外傷性C5、6椎間板ヘルニア、C5、6椎間板狭小化、C5、6不安定(後方すべり)
素因(既往症)の内容 中程度の脊柱管狭窄状態
認定減額割合 否定

【認定の理由】
本裁判例において、被告は、素因減額の根拠が、損害の公平な分担にある以上、形式的に「疾患」にあたるか
ということを問題とするのではなく、当該素因が損害の拡大にどの程度寄与し、それを全て加害者に負担させるのが
公平か否かという観点から、個別具体的に検討すべきとして、その上で、医師の意見に基づき、MRI画像上、
原告の第5・第6頚椎間の脊柱管狭窄状況は明瞭で脊髄の変形も認められており、決して軽微なものではなく、
中程度の脊柱管狭窄状況があったと判断できることから、拡大した損害全てを被告に負担させることは公平といえず、
応分の減額がなされるべきと主張した。

この主張を踏まえ、裁判所は、原告の身体のレントゲン写真上、第5、6頚椎間の椎間板高が減少していて後方骨棘が
認められ、また、MRI画像上、横断像で第5、6頚椎間高位で右優位の突出が認められ、中程度の脊柱管狭窄状況があったと
判断できるとしつつも、この骨変性は、加齢性変化による体質的素因であって、病的素因というべきものではなく、
しかも、原告の骨変性が加齢性変化についての個人差の幅を超えて通常生じ得ないほどのものであるということは
できないとして、骨変性を理由とする素因減額を否定した。

なお、被告の、「形式的に「疾患」にあたるかということを問題とするのではなく、当該素因が損害の拡大にどの程度寄与し、
それを全て加害者に負担させるのが公平か否かという観点から、個別具体的に検討すべき」という主張については、
被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有し、これが損害の発生に寄与したとしても、
それが疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、損害賠償の額を定めるに当たり斟酌することはできない
とした最判平成8年10月29日を引用した上で、採用しなかった。
【本裁判例の検討】
本裁判例では、事故前から原告の身体に、第5、6頚椎間の骨棘の突出という骨変形による中程度の脊柱管狭窄状態があったと認定しつつも、この骨変形を加齢性変化であり、病的素因にはあたらないとして、素因減額を否定した。




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