裁判例⑤(脊髄障害・介護費用)

裁判例⑤ 大阪地判平成19年4月10日(自保ジャーナル1688号13頁)
年齢 24歳(症状固定時)
性別 男子
後遺障害
体幹・四肢麻痺、呼吸筋麻痺等
※体重が約90キログラムある、痙性でいきなり手足が硬直することがある、
体温調節が適切にできない状況にある、5回に1回指を一本動かすことができる
程度で、それ以外、首から下は動かすことができない。

自賠責等級 1級1号
被害者側の状況
必要な介護の内容は、ストレッチ、食事、洗面、洗髪の世話、着替え、陰部洗浄、
全身清拭、バイパップ(人工呼吸器)の装着、褥瘡を防止するための体位変換を
原告が寝ている間に2、3時間ごとにすること、摘便、排尿処理、紙おむつ交換等である。

現在の職業介護人による介護態勢を1週間の曜日ごとにみると、概ね以下のとおり。

(ア) 月曜日
 ヘルパー7時間(1名)、訪問看護士1時間(1名)

(イ) 火曜日
 隔週で「ヘルパー10時間(2名)」「ヘルパー8時間(1名)及び施設での
リハビリ1時間」のどちらか

(ウ) 水曜日
 ヘルパー10時間(2名)及び訪問看護士1時間(1名)

(エ) 木曜日
 ヘルパー10時間(1名)及び施設でのリハビリ1時間(隔週)

(オ) 金曜日
 ヘルパー10時間(2名)及び訪問看護士1時間(1名)

(カ) 土曜日
 ヘルパー3時間(1名)、訪問リハビリ1時間及び訪問入浴1時間

(キ) 日曜日
 職業介護人による介護はない。

 1週間あたりの職業介護人による延べ介護時間は約56時間であるが、妻は、
このような職業介護人による介護を受けながらも、ほぼ全般にわたって原告の
介護をしている。妻には、ほとんど自分の時間がなく、肉体的にも精神的にも
相当厳しい状況にある。

認定された介護費用
妻が60歳に達するまでは、近親者介護(日額8000円)と職業介護人1.5名分
(日額2万1000円)の合計日額2万9000円

妻が60歳に達した以降は、職業介護人2名分(日額2万8000円)

【認定の理由】
裁判所は、原告を自宅介護するためには肉体的精神的にかなりの負担を要し、妻一人
による介護はとても無理でありと判断し、原告花子と職業介護人1.5名による介護が
最低限必要と認定した。

また、妻による介護も同人が60歳になればもはや限界と考えられ、それ以降は、
職業介護人2名による介護が必要と認定した。

その上で、それぞれ期間における、妻(近親者)、職業介護人による介護の費用に
ついて上記のとおり判断した。

【本裁判例の検討】
本裁判例においても、これまでの裁判例同様、近親者の介護が可能な期間について、
当該近親者が就労可能年数に達するまでという枠組みが基本にあると思われる。

もっとも本事案では、原告の症状のため、必要な介護の程度が重いことに加えて、
原告の体重が90キログラムあったことから、同人の介護がより困難であると判断し、
通常(一般的には67歳)よりも早い60歳に達した段階で、妻には原告の介護が不可能と
なるとして、その前後で職業介護人との調整を図ったところに特徴がある。




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