裁判例⑥(脊髄障害・労働能力喪失率)

裁判例⑥ 東京地判平成12年5月16日交民集33巻3号836号
年齢 27歳(症状固定時)
性別 男子
職業 不明
傷病名 脊髄ショックを伴う頸髄損傷、頭部打撲、左半身不全麻痺(原告の主張)
自賠責認定等級 不明
原告が主張した等級・参考喪失率
併合4級(左上肢における手関節以遠の手指の麻痺(12級12号)、左下肢の用の全廃(5級7号))
92%
本判決認定喪失率 70%

【認定の理由】
本事案は、原告が、上記のとおり原告が負った後遺障害が併合4級に相当するとして、
同等級相当である92%の労働能力喪失率を主張したのに対して、被告が、そもそも
原告に頸髄損傷が生じていないと主張し、さらに原告が、事故後も就労し、継続的に
収入を得ていることを指摘して、逸失利益金額(労働能力喪失率)を争った。

裁判所は、まず脊髄(頚髄)損傷の存否について、原告の症状は脊髄の不全損傷であって、
その程度が軽度であること、いわゆるブラウンーセカール症候群のような症状は呈して
おらず、また、教科書的な脊髄症状と比較するとやや異なっていること等が認められる
ものの、それは、不全損傷であるが故に、非定型、特異な経過をたどったものと理解する
べきであるとして、原告の不全損傷の存在を認定し、その障害の程度を5級2号に相当する
ものとした上で(原因が脊髄損傷にあることから、症状(左上肢における手関節以遠の
手指の麻痺と左下肢の用の全廃)を統一的に評価している。)、下記の通り原告の労働
能力喪失率を、70%と認定した。

すなわち、原告の症状自体は5級2号に相当するとしても、
①症状固定後に車いすの修理・販売業に就いて月額20万円程度の収入(手取り)を得ていたこと、
②現在も職場は変更があったものの、月額7ないし8万円の収入を得ていること、
③自らオートマチック車を運転し移動することができること、
④車いすのテニスで選手になっていること
等を評価し、裁判所が認定した5級相当の参考喪失率である79%よりも低い70%を認定した。

【本裁判例の検討】
本判決では、原告が症状固定後に一般水準に近い収入を得ることができており、
また何より車を運転することが可能であり、テニスの選手にもなっていることなど、
その運動能力も比較的高いことが認定されているため、本人の努力等があることを
考慮しても、なお参考喪失率を下回ると判断したものと思われる。




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