裁判例⑤(脊髄障害・労働能力喪失率)

裁判例⑤ 東京地判平成17年11月30日(自保ジャーナル1630号)
事故時年齢 21歳
性別 男子
職業 建物解体作業員
傷病名 脊髄損傷、多発骨折(頸椎骨折、胸椎圧迫骨折、腰椎圧迫骨折等)等
労災認定等級
1級3号(労災の認定)
本事案は建物解体作業員の原告が家屋解体作業従事中に、2階から1階に転落した事案
であり、交通事故事案ではないことから労災の認定を挙げた。
本判決認定喪失率 95%

【認定の理由】
本事案は、原告が、本件事故によって両下肢完全麻痺、自排泄不可等の後遺障害が残り、
これらの後遺症が労災保険において1級3号(当時)に認定されたことから、100%の
労働能力喪失率を主張したのに対して、被告は逸失利益を含め損害額を争った。

この原告の主張に対して、裁判所は、労働能力の喪失の消極的な事情として、
①ADL(日常生活動作)が自立していること、
②おむつの使用が睡眠時のみであること、
③屋外長距離の移動は車椅子が実用的であるものの、装具や松葉杖の使用により短距離の
歩行は可能であること、
④入院中にパソコンによる作業訓練を受け、文書入力、編集操作等を習得したこと、
⑤事故後に会社に就職し、同社が倒産するまで勤務していたこと、
⑥その後は、採用はされていないものの、毎月のように公共職業安定所(ハローワーク)
に出かけていること
を考慮して、いわゆるデスクワークであれば、現実の就職は困難が予想されるものの、
全く就労が不可能とまでは言えないとして、その労働能力喪失率を95%と認定した事案である。

【本裁判例の検討】
本裁判例では、被害者の事故後の状況を踏まえ、結論として全く就労が不可能とは
いえないと判断されているが、やはり、被害者の後遺症の内容もさることながら、
現実に事故後に会社(事故前とは別の会社と思われる)に就職して給与を得ていた事実が、
等級相当の100%の労働能力喪失率を認定することを回避した判断に大きな影響を与えた
ものと思われる。




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