裁判例④(脊髄障害・労働能力喪失率)

裁判例④ 東京地判平成17年10月27日(自保ジャーナル1620号)
事故時年齢 25歳
性別 男子
職業 新聞記者
傷病名 詳細は不明(後遺症は脊髄損傷による完全対麻痺による神経因性膀胱・直腸障害)
自賠責認定等級 別表1級3号
本判決認定喪失率 90%

【認定の理由】
本事案では、原告が、事故前より勤務していた新聞社に、事故後も通勤、勤務し収入を
得ることができてはいるものの、それは、原告自身の命を削るような特別な努力に
基づくものに他ならず、記者職で入社したにもかかわらず、自分自身の身体を満足に
コントロールすることすらかなわないことから、取材活動も自由に行うことができず、
また社内における自分の居場所すら確保できない状態となってしまっていることから、
本件事故によってその労働能力を100%喪失したと主張した。

これに対して被告は、原告の上肢の機能は温存されており、その温存されている能力等を
考慮すれば、自分自身で全く何もできないというレベルではなく、就労・日常生活に
ついては補助や適宜介助を行っていくことにより生活できる状態にあるから、
後遺障害等級1級だからといって労働能力喪失率を100%と直ちに認めるのは妥当ではなく、
現実には60%程度であると主張して争った。

裁判所は、労働能力喪失の認定において、消極的な事情として、原告が、現に新聞社での
勤務を継続することができており、給与(平成11年に732万6203円、平成12年に203万2995円、
平成13年に437万6171円、平成14年に726万4306円(なお、事故日は平成11年9月15日、
症状固定日は平成13年5月14日である。))を得ていることを、積極的な事情として、

①原告が胸部以下の自立運動ができず、移動に際して常時車いす又は自動車を利用する
必要があること、

②原告が新聞社での勤務を継続できているのは、周囲の恩恵的な配慮と本人の多大なる
努力によるものであり、いずれが欠けてもその継続が困難になることが予想されること

を考慮し、その労働能力の喪失率を90%と認定した。
【本裁判例の検討】
裁判所は、要介護の状態にあるとして、1級3号(当時)に認定されていることは認めつつも、
原告が現に職に就くことができており、決して低額とは言えない給与を得ていたことから、
労働能力を100%と認定することは公平を欠くと判断したものと思われ、事故後の就労の
事実および得ることができていた収入額が最大のポイントとなったものと思われる。




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