裁判例③(脊髄障害・労働能力喪失率)

裁判例③ 東京地判平成19年8月21日自保ジャーナル1716号
事故時年齢 25歳
性別 男子
職業 アルバイト
傷病名 胸椎脱臼骨折等
自賠責認定等級 別表第1の1級1号
本判決認定喪失率 100%

【認定の理由】
本事案では、原告が、本件交通事故によって、別表第1の1級1号に認定される
胸髄損傷による完全対麻痺、膀胱・直腸障害等の後遺症により、労働能力が
100%喪失したとして逸失利益を請求したのに対して、被告が、原告が本件事故後に
元の勤務先に復帰していることを指摘し、逸失利益が認められるとしても、
職種変更等による減収の分に限られると主張した。

これらの主張を受け、裁判所は、

①原告が、本件事故後再びアルバイトとして元の職場に復帰してはいるものの、
実際に従事し得る業務は坐位によってすることができるコンピューターの入力作業に
限られ、労働日、労働時間及び1時間当たりの賃金のいずれにおいても従前より条件が
低下し、膀胱・直腸障害等の本件事故による後遺障害のために上記の業務の遂行にも
支障が生じていたこと、

②原告が本件事故後に元の職場での勤務を再開することができたのは、原告太郎の
就労への強い意欲によるほか、会社側の関係者の理解によるものであったところ、
勤務先の移転等の事情から、同職場での勤務が終了した後は、簿記の資格の取得を
試みるなどしてはいるものの、依然雇用先を見出せない状況にあること

を理由に、原告の労働能力喪失率を、自賠責によって認定された等級相当である
100%と認定した。

【本裁判例の検討】
裁判所が、100%の喪失率を認めるかどうかについては、事故後に現実に就業する
ことができているかどうかが大きな判断要素となっていることが多いが、本事案では、
事故後に元の職場に復帰することによって就業することはできていた期間があるにも
かかわらず100%の喪失率が認定されている。

これは、上記のとおり、職場の都合で元の職場での就労が出来なくなった後、どこへも
就労することができておらず、またその事実について後遺症の内容からも裏付けられる
ことから、元の職場での就労が、会社側の関係者の特別な理解によるものであり、原告が
一般的に就労可能であることを示す事実ではないと認定していることによるものと思われる。




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