裁判例⑩(脊髄障害)

裁判例⑩ 東京地判平成21年2月5日(自保ジャーナル1779号)
年齢 29歳
性別 女子
事故日 平成13年2月7日(第1事故)、同年4月20日(第2事故)
事故状況
被告甲運転の加害車両が赤信号のために停止していた訴外人が運転する被害者車両に
追突し、被害車両に同乗していた原告が負傷した(第1事故)。
被告乙運転の加害車両が交差点を一時停止せずに時速20キロメートルで直進して
きたところ、同交差点に進入してきた訴外人が運転する被害タクシーに衝突し、
被害タクシーに同乗していた原告が負傷した(第2事故)。

原告の主張する傷害内容
頸椎捻挫、頸髄損傷等(第1事故)
頸椎捻挫、鼻骨骨折、中心性頸髄損傷(第2事故)
自賠責等級
第1事故での障害については非該当
第2事故では、12級12号
裁判所認定等級等
14級9号 喪失率5パーセント
喪失期間:5年間

原告が主張する後遺障害の内容
第1事故後、聴力障害、味覚異常が生じ、第2事故後は、両下腿・足部、両手の
痺れ等が生じた。

被告の主張
頸髄等の神経損傷の場合は、受傷直後が症状のピークであるところ、第1事故後
神経系統の損傷を示唆する訴えや診断所見がないことからは、原告の障害は
頸椎捻挫にとどまる(第1事故被告の主張)。

原告に脊髄症状が生じていれば、病的反射といった神経学的所見やMRIによる
画像所見がみられるのが通常であるが、原告の入院期間中に上記所見は認められて
いない(第2事件被告の主張)。

【認定の理由】
裁判所は、頸髄などの神経損傷の場合は、原則として受傷直後が症状のピークで
あること、頸椎や腰椎が損傷された場合には、極めて軽微な脊髄の不全損傷で
あったとしても、四肢不全麻痺や四肢腱反射の亢進など、明らかな神経学的異常所見が
認められること、非骨傷性頸髄損傷の場合であっても、MRIの信号変化により
脊髄損傷部が診断できることを挙げ、その上で、原告は本件第1事故直後には
歩行できていたこと、本件第1事故後も本件第2事故後も神経学的異常所見は
認められず、また、MRI等の画像所見上も異常所見が認められないこと、
中心性頸髄損傷と診断した医師も、原告が訴える両上下肢の疼痛やしびれ等の症状に
つき整形外科的に原因と考えられる疾患ではないと判断していることから、原告が、
本件各事故により脊髄損傷を発症したと認めるに足りる証拠はない、として
脊髄損傷を否定した。

そして、原告の頸椎捻挫に基づく頸部痛の症状は、他覚的所見が認められない
のであるから、後遺障害等級14級9号と解するのが相当とした。

【本裁判例の検討】
本裁判例は、脊髄の不全損傷であっても、一般的に何らかの神経学的所見が
明らかに認められること、非骨傷性頸髄損傷でもMRIの信号変化により
脊髄損傷部が診断できることを挙げ、これと原告の諸症状および治療経過を比較して、
頚髄損傷の有無を判断するという枠組みを採っている。




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