裁判例⑨(脊髄障害)

裁判例⑨ 仙台地判平成20年10月29日(自保ジャーナル第1774号)
年齢 不明
性別 男子
事故状況
雨中、走行車線走行中の原告車両を追い越そうとした被告車両が、高速走行の
ために運転の制御ができなくなり、スピンしながら原告車両の進路を塞いだ
ために原告車両と衝突した。

原告の主張する傷害内容  頸髄損傷、胸部出口症候群、腰部挫傷
自賠責等級 労災で3級の3が認定されている
裁判所認定等級等
神経症状12級12号
喪失率14パーセント、喪失期間8年
原告が主張する後遺障害の内容    事故から502日後に左半身麻痺の後遺障害を残した

被告の主張
①原告は運転者としてシートベルトを装着した状態でハンドルを握っており、
衝突を予期して身構えることが可能であること、本件事故によって傷害を負った
5名のうち4名は軽傷で、残り1名についても後遺障害は残存しなかったこと等
から、原告の症状が他の乗客よりも重く、かつ、その治療に要する期間も
長かったことは不自然である

②MRI等の画像上で異常所見が認められないうえ、神経学的所見としても
病的な反射の出現は見られず、かえって、痺れの部位が拡大するなど進行性の
傾向が見られることからも、これを外傷による頸髄損傷を含めた脊髄損傷と
することは医学的に説明ができない。

【認定の理由】
裁判所は、まず①事故態様について、原告は本件事故時に原告車両の運転者
としてシートベルトを装着した状態でハンドルを握っており、衝突を予期して
身構えるなどの体勢をとったこと、本件事故により、原告の外5名の乗客が
頸椎捻挫、腰部挫傷等の傷害を負ったが、5名のうち4名は軽傷で、その賠償額は
約3万円から約51万円であり、残り1名については通院期間が228日を
要したが、後遺障害は残存せず、賠償額も約219万円であったこと等を認定し
、本件事故の態様、本件事故車両の損壊状況、本件事故直後の原告の外貌及び
行動状況、原告車両の乗客の被害状況等の事実に照らせば、原告車両に乗車
していた者の中で見た場合、原告の乗車位置等から他の着席位置とは異なった
外力を受ける可能性があったことは否定できないとしても、原告の主張する現在の
症状は、上記事実関係に比してあまりにも均衡を失した結果であり、かつ、
その治療に要する期間もかなり長いと判断した。

また、②原告の症状についても、本件事故後かなりの期間は治療につき、到底、
緊急性があるといえないものであったうえ、MRI等の検査画像上で頸髄損傷を
含めた脊髄損傷に関する異常所見が見られず、神経学的所見としての病的な反射の
出現も見られないにもかかわらず、痺れの部位が拡大するなど進行性の傾向が
見られるという(脊髄損傷を受傷しているとするならば)不自然な経過を辿って
いると判断し、これらの事情から、原告が本件事故により頸髄損傷を含めた脊髄損傷を
生じたと認めることはできないと判断した。

【本裁判例の検討】
本裁判例は、事故態様について、原告車両の修理費用、同乗していた他の被害者の
被害状況等を詳細に検討した上で、原告が受けたと推測される衝撃の程度と原告が
主張する各症状は均衡を失しているとし、また原告が主張する各症状も、画像所見、
反射等の診断結果と整合しないこと等の事情から脊髄損傷を否定している。




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