裁判例②(脊髄障害)

裁判例② 東京地判平成12年5月16日(交民集33巻3号836頁)
年齢 27歳(固定時)
性別 男子
事故状況
被告が、加害車両を運転中、仮睡状態に陥り、対面信号が赤色を表示していたのに気付かないまま本件現場の交差点に進入させ、折から右交差点を右折進行中の被害車両左側後部に、加害車両の前部を衝突させた。
原告の主張する傷害内容  頸髄損傷、頭部打撲
自賠責等級 不明
裁判所認定等級等
神経症状5級2号 喪失率70パーセント
喪失期間:67歳までの40年間

原告が主張する後遺障害の内容
事故から数日後に左手から左上肢に痺れを訴えるようになり、
最終的には左下肢麻痺障害と左上肢神経障害が残った。

被告の主張
①医学上一般に、脊髄損傷は、中枢神経の障害であるために症状は
受傷時から発生するものであるところ、原告の症状は事故直後から
変化していて一貫していない。
②MRI脊髄造影等によっても所見が認められない。

【認定の理由】
裁判所は、まず、被告の主張①に対して、鑑定人の意見等をもとに、
不全損傷の場合、必ずしも受傷直後から一定の内容で、四肢全般に
麻痺症状が出るとは限らないと判断し、被告の主張②に対しては、
MRIが有力な診断方法であることは勿論であるが、補助的な診断方法であり、
不全損傷のような場合には、画像上所見が出ない場合もあり得るとして、
鑑定人の行った反射等の検査結果をもとに頸髄不全損傷を認めた。

なお、原告は医療機関において、その症状が心因的な要因によるもの
(ヒステリー等)であると判定されていたことがあることについても
検討しており、この点については、本件事故後一貫して左優位の脊髄症状が
続いていると評価できること、原告の日常生活を見ても(被告が隠し撮り
ビデオテープを提出している)詐病を疑うことはできず、ヒステリーに
ついても、筋電図で明らかな所見が出ていることと矛盾していること等の
事情を挙げ、心因的要因を強調することは不相当とした。

【本裁判例の検討】
本裁判例は、不全損傷の場合には、四肢麻痺等の症状が事故直後に生じていない
場合や画像上所見がなくとも、損傷の発生を否定することにはならないこと、
その具体的な症状にも時の経過によって変化が生じ得ることなど、不全損傷に
基づく具体的な症状の発症経過の特殊性を認めた点に特徴があるといえる。




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