裁判例①(脊髄障害)

裁判例① 大阪地判平成9年1月24日(交民集30巻1号108頁)
年齢 53歳(症状固定時)
性別 男子

事故状況
原告が被害車両の運転席に乗車中、2回被告運転の加害車両に追突され、
被害車両はさらに前車に追突し、加害車両に追突されてから約3メートル移動して停止した。
原告の主張する傷害内容  頸髄損傷、第6頸椎圧迫骨折
自賠責等級  9級10号
裁判所認定等級等
9級10号 喪失率35パーセント
喪失期間:67歳までの14年間
原告が主張する後遺障害の内容
四肢不全麻痺、筋力低下、知覚鈍磨等

被告の主張
本件事故において頸椎圧迫骨折を起こすほど頸椎に激しい過屈曲ないし
過伸展が強いられたことはあり得ない。
仮に、本件事故で頸髄損傷が生じたならば、受傷直後の脊髄性ショック
による完全弛緩性麻痺が生じるはずであるが、弛緩性麻痺は認められて
いない上、上下肢とも腱反射亢進がないことから、頸椎捻挫にとどまる。

【認定の理由】
裁判所は、脊髄損傷の中にはエックス線上、骨折や脱臼が認められない
症例が少なくなく、頸髄損傷には日常的であること、頸髄損傷は頸椎の
過伸展損傷によって生じることが多く、殊に骨棘や椎間板変性の高度な
症例、後縦靱帯骨化や先天的に生来脊柱管の狭い症例では、これらの
諸変化を準備的素因として、軽微な外傷でも頸髄損傷に陥ること、頸髄の
外傷性の傷害は他のレベルのものと比べると完全損傷は少ないこと、脊髄
ショックは不全損傷の場合はっきり現れない場合も考えられること等を
挙げた上で、原告の頸髄損傷の発症の有無については、本件事故後、
知覚麻痺が上肢のみならず下肢にも認められ、足クローヌス等反射が亢進
している等脊髄に障害を負った場合に見られるが、頸部捻挫とは相容れない
症状が認められること、本件事故前に原告には、頸髄損傷に関連する既往症等
は発見されていなかったが、原告は上記のように頸髄損傷が発生し易い状態に
あったところ(原告には後縦靱帯骨化症等の変形性の疾患があったと認定
されている。)、このような状態の下で加わった本件事故の衝撃が右疾患と
共に原因となって、頸髄損傷が発生したと判断した。

【本裁判例の検討】
裁判所は、後縦靱帯骨化症や脊柱管狭窄症などの症例では、軽微な外傷でも
頸髄損傷に陥ることや、原告の症状の推移は脊髄損傷における一般的な症状に
合致している点があることなどから、頸髄損傷が発生したと認めた。

なお、本件は素因減額についても争われたが、裁判所は原告が後縦靱帯骨化症
などの疾患に罹患していて頸髄損傷を起こしやすい状態にあったとして、
そのような状態の下で加わった本件事故の衝撃が疾患とともに原因となって
いたことを考慮し、損害の公平な分担の見地から3割を減額している。




  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ページトップへ

0120-949-753

このページの先頭へ