裁判例⑥(高次機能障害・将来介護費)

裁判例⑥大阪地判平成17年7月25日(自保ジャーナル第1611号)
年齢 19歳(事故時)
性別 女子
傷害内容 びまん性脳軸索損傷、脳腫脹、脳挫傷、下顎骨骨折、頭部挫創、気胸等
自賠責等級 高次脳機能障害2級3号と左同名半盲9級3号の併合1級
被害者側の状況
記銘力低下、学習障害、発動性低下、性格変化等の後遺障害
介助なく食事の摂取や排泄、入浴が可能。転倒防止のために絶えず見守り必要。
感情の起伏が激しく自傷行為のおそれがある。半側空間無視があるため慣れない場所に
一人で放置しておくことはできない。

現在、介護は両親がほとんど行っている。
介護内容 常時の看視、声掛け
認定された介護費用
平均余命まで近親者及び職業介護人日額1万3000円
原告の請求 介護人母67歳まで:
①平日について日額合計2万706円(職業介護人日額1万6706円、
近親者日額4000円)
②休日について近親者日額2万706円(家族であると本人もわがままをいうため、
介護の大変さはいっそう増すこと、仮に休日に職業介護人に来てもらい、近親者が
外出すれば平日と同じ費用がかかるのであるから、職業介護人と同様とみるべき)

介護人母67歳以降:職業介護人日額2万706円

ア 認定の理由
裁判所は、被害者(原告花子)が通院し診察を受けている医師が、「新たな環境への
対応や新たな人間関係の構築が困難であるから、同居の家族が絶えず注意深く見守る
必要がある」などと回答していること、本件事故後、一時期は、週2日二人のヘルパーを
依頼していたものの、ヘルパーと馴染めなかったり、原告花子がヘルパーに不満を
持つようになるなどしたため、現在、ヘルパーには月2回病院への送迎を担当して
もらっているのみであることなどを認定した。

そして、原告花子の症状から常時の看視、声掛けが必要であるとしつつも、
介護の主体については、現在、介護は両親がほとんどを行っており、上記原告花子の
状態からすると、現時点において、職業介護人に全面的に委託することは困難であり、
当面、こうした介護状況は続くものと考えられるとし、近親者による介護を前提として
付添費を算定すべきとした。

その上で、両親が原告花子の介護のために仕事を退職するなどして、いずれも相当な
減収が生じていることから、通常の近親者介護による付添費では足りないというべきで
あるとし、原告花子に必要な介護の内容・程度・精神的負担の大きさをも考慮して、
日額1万3、000円をもって相当と認めた。

イ 本裁判例の検討
本裁判例は、原告らが職業介護人の必要性を主張しているにもかかわらず、
被害者の現状から職業介護人による介護は困難と判断し、可能な限り近親者による
介護を前提としつつも、近親者が被害者の介護をすることとなったためいずれも相当な
減収が生じていることから、通常認められる近親者介護費である日額8000円ではなく、
1万3000円の介護費を認めている点に特徴がある。




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