将来介護費用について

交通事故の被害者が高次脳機能障害を負った場合、その高次脳機能障害の程度
によっては、他人による介護が必要な場合があり(自賠責保険後遺障害等級別表
第一の1級1号、同2級1号)、施設等に入所させて介護を依頼したり、
在宅介護の場合であっても、職業介護人に介護を依頼したりする場合には直接
その費用を要することになるし、近親者による介護であっても(その必要性が
認められる限り)当該交通事故に基づく損害として金銭的な評価がなされ
(財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編『民事交通事故訴訟 
損害賠償額算定基準2011年版 上巻』によれば、「職業付添人は実費全額、
近親者付添人は1日につき8000円。但し、具体的看護の状況により増減する
ことがある。」とされている。

裁判例においても、後遺障害等級別表第1第1級あるいは第2級に相当する
事案においては、近親者介護費を1日につき8000円とする裁判例が多く、
職業介護人については、1日あたり1万5000円程度を認める裁判例が増えてきている。)、
将来の介護及びその費用負担は、高次脳機能障害者本人及びその家族等にとっても
非常に重要な意味を持つ(若年の障害者であれば、将来の介護費用だけで1億円を
超える金額を認める裁判例も多数ある。)。

そして、近年の医療技術の発達により、交通事故に遭っても、幸いにも一命は
とりとめることができるケースが増えたものの、その代わり、被害者の介護が
必要な状態となるケースも増大しており、将来介護費用の重要性もまた増大している。

もっとも、高次脳機能障害においては、その後遺障害の程度に応じて、看視も含めて、
どのような介護が必要となるのか個々の高次脳機能障害者により異なるものであるから、
将来介護の必要性及びその内容については、個別具体的事情を勘案した精緻な
判断が必要となる。

本項では、この将来介護費用について裁判例を紹介し、将来介護費用に関する
裁判所の考え方について検討する。

なお、「将来」とは、一般に民事訴訟においては口頭弁論終結時以後を指すが、
交通事故における「将来」介護費とは、通常、症状固定後の介護費を指すため、
本書においても、「将来」とは症状固定後を意味するものとする。




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