裁判例⑪(高次機能障害)

裁判例⑪大阪高裁平成21年9月11日(自保ジャーナル第1813号)
年齢 23歳(症状固定時)
性別 女子
職業 地方公務員(小学校事務主事)
傷害内容 脳挫傷、びまん性軸索損傷、左下肢挫滅創等
自賠責等級 高次脳機能障害9級10号
比較基準
喪失率 35%
本判例等級 9級
本判例認定喪失率 30%
備考
23歳女子地方公務員について、減収がないものの、原告自身の努力および
同僚等による援助を考慮して、30%の労働能力喪失率を認定した。

ア 認定の理由
原告は、本件事故により高次脳機能障害が残り、自賠責保険の関係で
別表第二の9級10号に該当すると認定されたことから、労働能力を等級相当
である35%喪失したとして逸失利益を主張した。

これに対して被告は、原告が事故前に勤務していた小学校に復職し、
その職務内容が事故前後で変更されていないこと、また、症状固定後の原告の
給与額が事故前と同水準に復帰していることを指摘し、またそもそも高次脳機能障害が
残存しているのか否かについても疑問の余地があるとして原告の主張を争った。

裁判所は、これらの主張を踏まえ、
①原告は事故前の小学校に復職し、担当する事務に変更がないものの、
事故後については、同僚職員らが原告を援助している状態であること、

②事故後は、通勤時、自動車に対する恐怖心が拭えない、頭痛やふらつきがある、
食欲がない、仕事に対する不安感が強いなどと訴えることが多く、症状が徐々に回復し、
職務を遂行することが出来る状態になったものの、書類作成に負われるなどした場合には、
時として精神的に不安定な状態になることもあるという状態であったこと

を指摘し、事故前後で原告の収入が大幅に減少したわけではないものの、これは、
同僚等による援助があったことに加え、原告自身収入の減少を回復すべく特別の努力を
したことによるものであるとみるのが相当であり、適応力の障害が、将来その昇進や
、昇給等に影響を与える蓋然性が高いということができるとして、労働能力喪失率を
30%と認定した。

イ 本裁判例の検討
本裁判例では、原告自身の努力や、周囲の同僚等による援助の存在を明確に認めつつも、
結果としては等級相当の喪失率よりも低い喪失率を認定している。これはやはり事故前の職場、
担当事務に復帰し、本件事故前後を通じて、支給を受ける給与及び賞与の額について特に
変更があったわけではないことが重視されているものと思われる。




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