裁判例21 仙台地判平成20年10月29日(自保ジャーナル第1774号)

裁判例21 仙台地判平成20年10月29日(自保ジャーナル第1774号)
年齢: 不明
性別 :男子
事故日: 平成15年4月30日
事故状況
雨中、走行車線走行中の原告車両を追い越そうとした被告車両が、
高速走行のために運転の制御ができなくなり、スピンしながら原告車両の
進路を塞いだために原告車両と衝突した。

原告の主張する傷害内容 :頸髄損傷、胸部出口症候群、腰部挫傷
自賠責等級: 労災で3級の3が認定された
裁判所認定等級等: 神経症状12級12号、喪失率14パーセント、
喪失期間8年

原告が主張する後遺障害の内容 :事故から502日後に左半身麻痺の
後遺障害を残した

被告の主張
①原告は運転者としてシートベルトを装着した状態でハンドルを握っており、
衝突を予期して身構えることが可能であること、本件事故によって傷害を
負った5名のうち4名は軽傷で、残り1名についても後遺障害は残存
しなかったこと等から、原告の症状が他の乗客よりも重く、かつ、
その治療に要する期間も長かったことは不自然である

②MRI等の画像上で異常所見が認められないうえ、神経学的所見と
しても病的な反射の出現は見られず、かえって、痺れの部位が拡大するなど
進行性の傾向が見られることからも、これを外傷による頸髄損傷を含めた
脊髄損傷とすることは医学的に説明ができない。

【裁判所の判断】
裁判所は、まず、事故態様について、原告は本件事故時に原告車両の
運転者としてシートベルトを装着した状態でハンドルを握っており、
衝突を予期して身構えるなどの体勢をとったこと、本件事故により、
原告の外5名の乗客が頸椎捻挫、腰部挫傷等の傷害を負ったが、
5名のうち4名は軽傷で、その賠償額は約3万円から約51万円であり、
残り1名については通院期間が228日を要したが、後遺障害は残存せず、
賠償額も約219万円であったこと等を認定し、本件事故の態様、
本件事故車両の損壊状況、本件事故直後の原告の外貌及び行動状況、
原告車両の乗客の被害状況等の事実に照らせば、原告車両に乗車していた
者の中で見た場合、原告の乗車位置等から他の着席位置とは異なった外力を
受ける可能性があったことは否定できないとしても、原告の主張する現在の
症状は、上記事実関係に比してあまりにも均衡を失した結果であり、かつ、
その治療に要する期間もかなり長いと判断した。

次に、原告の症状については、本件事故後かなりの期間は治療につき、
到底、緊急性があるといえないものであったうえ、MRI等の検査画像上で
頸髄損傷を含めた脊髄損傷に関する異常所見が見られず、神経学的所見と
しての病的な反射の出現も見られないにもかかわらず、痺れの部位が拡大
するなど進行性の傾向が見られるものであること等からは、原告が本件事故
により頸髄損傷を含めた脊髄損傷を生じたと認めることはできないと
判断した。

【本裁判例の分析】
本裁判例は、事故の態様や他の被害者の被害状況といった事故による
客観的状況から(要素①)、原告主張の症状は均衡を失するとし、
画像所見がないこと等とも併せて脊髄損傷を否定した。




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