裁判例17 京都地判平成17年3月31日(自保ジャーナル第1601号)

裁判例17 京都地判平成17年3月31日(自保ジャーナル第1601号) 
年齢: 53歳
性別: 男性
事故日: 平成12年12月28日
事故状況: 被告運転の車両が交差点を西から南に右折進行した際、
南から北に直進した原告の車両と衝突した。

原告の主張する傷害内容: 頭部外傷Ⅰ型・遅発性頸髄損傷等
自賠責等級: 3級3号
裁判所認定等級: 7級、喪失率56パーセント、
喪失期間67歳までの13年間

原告が主張する後遺障害の内容
原告は自賠責保険で後遺障害等級3級3号に認定された。
原告は症状固定後、リハビリ治療に専念し症状が改善されたが、
少なくとも後遺障害等級5級2号に該当する。

被告の主張
①原告の受傷は軽い打撲・挫傷である。

②本件では、遅発性脊髄損傷は否定される。

【裁判所の判断】
原告は、本件事故によって、頭部外傷Ⅰ型から遅発性頸髄損傷等で
自賠責3級3号後遺障害を残したとして訴えを提起した。

これに対し、被告は、原告には加齢による椎体縁骨硬化、骨棘形成、
また後縦靱帯骨化症があるが外傷由来の所見はない。また、遅発性脊髄損傷は、
外傷により、頸椎脱臼、骨折が発生して頸椎不安定を生じ、二次的に
頸髄麻痺が発生する場合、外傷により頸椎骨折が発生し、出血による血塊が
頸髄を圧迫して頸髄麻痺が発生する場合、外傷性頸髄空洞症により麻痺が
発生する場合に限られるが、本件ではそのような所見はないから
上記障害は否定されると主張しこれを争った。

裁判所は、急性中心性頸髄損傷は受傷の瞬間から四肢麻痺が発生するが、
本件ではこれはみられないという医師の意見書に加え、

①原告は常に杖を持って歩行するが、比較的歩行は滑らかであり、
自力で自動車のドアを開閉できること、

②喫茶店で右手にコップを持ち、左手でタバコを吸っていること、

③首に掛けたタオルを両手にも顔・首を拭いていること、

④左手に杖を持ち、右手でライターを点けてタバコを吸うこと、

⑤食事中、右手で箸を持ち、左手でコップを持ちビールを飲んでおり、
両上肢を上げることができるこ

と等から、原告に外傷性頚椎脱臼や骨折はなく、外傷性頸髄空洞症の発症も
認められず、原告に遅発性頸髄損傷が発生したとまでは認めることが
できないと判断した。

そのうえで裁判所は、原告の日常生活の動作から上肢が用廃したとまでは
窺えないが、肩関節部痛、両上肢の知覚低下、筋力低下等の症状が
憎悪長期化したと認めるのが相当であるとして、後遺障害7級に
該当すると判断した。

【本裁判例の分析】
本判例は遅発性頸髄損傷の存否が争われた事案である。

裁判所は、遅発性頸髄損傷が発生する累計や原告の日常生活の状況
(要素②)、また原告の既往症(要素③)等を総合的に判断し、
遅発性頸髄損傷について否定する判断をした。

尚、本件は原告が有していた後縦靱帯骨化症及び骨棘形成の素因が
症状の憎悪・長期化に影響しているとして、30%の素因減額を認めた。




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