裁判例12 高松高判平成13年7月26日(自保ジャーナル第1410号)

裁判例12 高松高判平成13年7月26日(自保ジャーナル第1410号)
年齢      29歳
性別   女子
事故日     平成8年4月9日
事故状況
控訴人(被告)運転の加害車両が交差点で後退してきたため、その後方で
停止していた被害車両に逆突し、被害車両に同乗していた被控訴人(原告)
を負傷させた事案

原告の主張する傷害内容     頸髄損傷、頸椎捻挫、腰部打撲等
自賠責等級      14級10号
裁判所認定等級等     神経症状12級12号、
喪失率14パーセント、喪失期間10年間

原告が主張する後遺障害の内容
両上肢機能の著しい障害、四肢知覚鈍麻麻痺及び疼痛を伴う異常感覚、
両下肢機能の軽度の障害等の神経症状が発現し、時を経るごとに
悪化していった。

控訴人(被告)の原審での主張
①外傷性脊髄損傷においては、外傷直後に最も重い症状が現れ、
完全麻痺のまま永続化するか、部分的に改善して不全麻痺を残すか、
あるいは治癒するという経過を辿るのであって、悪化していくことはありえない。

②被告車の衝突速度は人が歩く程度以下の速度であり、原告同乗車は前後に
動いておらず、原告の頸部がむちうち運動をする契機が存在しないような
極めて軽微な接触事故であり、車内の人が負傷するような事故ではない。
仮に、原告が軽度のむちうちにより頸椎捻挫の傷害を負ったとしても、
頸髄損傷を負うほどの衝撃力を負ったとは考えられない

【裁判所の判断】
まず、裁判所は、「外傷性脊髄損傷においては、外傷直後に最も重い
症状が現れ、完全麻痺のまま永続化するか、部分的に改善して不全麻痺を
残すか、あるいは治癒するという経過を辿るものであり、反復して外傷を
受けた場合を除き、時間的経過とともに症状が悪化する進行性脊髄損傷
とでもいうべきものはない」という一般論を示した。そのうえで、
被控訴人(原告)の愁訴ないし症状を検討し、「診療録上、被控訴人
(原告)には歩行障害の存在を疑わせるような所見はなく、かえって
片足立ちが可能とされており…実際にも入院中かなり頻繁に外出・
外泊をしている。」「また、被控訴人の愁訴及び訴えは、時間的経過とともに
徐々に多彩になり、より悪化しているという経過を辿っている。」等という
点から「被控訴人が脊髄損傷の障害を負っていることと医学的に明らかに
矛盾するものである。」とし、「被控訴人の後遺障害が脊髄損傷による
ものであるとの証明は、いまだ不十分であるといわざるを得ない。」として、
脊髄損傷について否定した。

【本裁判例の分析】
上記裁判例は、まず、脊髄損傷後の症状について、時間経過により悪化する
ことはないにもかかわらず、被害者の愁訴及び訴えは、時間的経過とともに
徐々に多彩・悪化していることや、被害者が頻繁に外出・外泊すること等、
脊髄損傷の存在と矛盾する症状を示していること(要素②)に加え、
さらに事故態様、車両の損壊の程度が軽微なこと等から、脊髄損傷が生じる
蓋然性は高くないと判断し(要素①)、これらの事情から、脊髄損傷の
存在を否定した点に特徴がある。




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