裁判例11 横浜地判平成11年3月17日(自保ジャーナル第1303号)

裁判例11 横浜地判平成11年3月17日(自保ジャーナル第1303号)
年齢  不明 
性別  不明 
事故日     平成7年9月23日
事故状況 原告車が停車中、玉突き追突された。
原告の主張する傷害内容    中心性頸髄損傷,外傷性腰椎椎間板ヘルニア
自賠責等級      不明
裁判所認定等級等     非該当
原告が主張する後遺障害の内容      頸髄損傷
被告の主張      原告に中心性頚髄損傷は生じていない。

【裁判所の判断】
本裁判例は、原告が乗用車を運転停止中、玉突き追突事故の被害にあった
事案である。原告は、本件事故により中心性頸髄損傷を受傷したと
主張したが被告はこれを争った。

裁判所は、
①原告が本件事故当時、他の車両の運転者と会話したり、警察官の事情聴取を
受けたうえ、自ら自動車を運転して帰宅したこと、

②事故の翌日長男の小学校の運動会を見ていた際に、頸部・腰部の痛みと
手足のしびれ、強い脱力感の症状が発現して病院を受診しているが、
その翌日も午前中は自分の医院で医師として診察に従事し、入院期間中も
午前中は診察に従事していたということ、

③中心性頸髄損傷の重要な症状である脊髄ショック、膀胱障害、
痙性麻痺の症状もなかったということ

から、本件事故により原告が中心性頸髄損傷を受傷したと認めるのは
困難であるとした。

そのうえで裁判所は、本件事故後に発現した原告の症状は、原告が本件事故前に
有していた変形性頸椎症及び多発性の椎間板の膨隆による潜在的症状が
本件事故による外力が誘因となって顕在化して悪化したことと本件事故により
頸椎捻挫を受傷したことによるものと推認するのが相当であるとし、
原告の入院治療については2週間、通院治療については本件事故後より
平成8年3月までの限度で本件事故と相当因果関係があると認めた。

【本裁判例の分析】
原告は頸髄損傷と医師に診断されたものの、裁判所は、

①原告に中心性脊髄損傷の重要な症状が認められなかったこと、

②原告が事故当時他の車両の運転者と会話したり、警察官の事情聴取を
受けたうえ自ら自動車を運転して帰宅したこと、③原告が本件事故後も
医師として診察に従事していたこと等、頸髄損傷を受傷した患者が
通常とることができない行為を行っていたことから、原告の頸髄損傷の
主張を認めなかった。

このように、本裁判例は、中心性脊髄損傷によって生じうる症状や被害者の
現実の状態を重視して(要素②)、脊髄損傷の有無を判断した点に特徴が
あるといえる。

なお、裁判所は、原告の症状は本件事故前に有していた変形性頸椎症及び
多発性の椎間板の膨隆による潜在的症状が本件事故による外力が誘因となって
顕在化して悪化したことと本件事故により頸椎捻挫を受傷したことによると
認定し、50%を素因減額した。




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