裁判例9 名古屋地判平成10年3月18日(交民集31巻2号334頁)

裁判例9 名古屋地判平成10年3月18日(交民集31巻2号334頁)
年齢 67歳
性別 女子
事故日 平成3年2月2日
事故状況 被告運転の加害車両が運転を誤り原告の自宅に飛び込んだ
原告の主張する傷害内容   頸椎捻挫、中心性頸髄損傷、右肋骨不全骨折、
第1、第9脳神経損傷
自賠責等級   不明
裁判所認定等級等 神経障害14級、喪失率5パーセント、喪失期間7年間

原告が主張する後遺障害の内容    両上肢不全麻痺等で5級2号の
後遺障害が残ったと主張

被告の主張     原告には後遺障害は生じていない。

【裁判所の判断】
 裁判所は、
①鑑定結果から原告が本件事故により打撲傷および擦過傷を負ったもの
ということができるが、不全骨折、第一・第九脳神経損傷、中心性脊髄損傷、
両手不全麻痺の各傷病の存在は否定されること、

②原告が受傷後約10日目以降、頭痛、頸部痛、握力低下、しびれなどを
訴えているが、これらは一般に見られる頸椎捻挫に伴う経過と同様であり、
原告が頸椎捻挫の障害を負ったものと判断することは合理的であること

などから、原告は本件事故により頸椎捻挫の障害を負ったものと考えられるが、
これに対応する頸部の器質的異常はほとんど確認されなかったか、
または早期に解消し、原告の現在の身体的不調は本件事故を契機として
原告に生じた心因的要因(不定愁訴)に起因するものであって、頸椎捻挫の
器質的病変によるものではないと認定した。

そのうえで裁判所は、5級相当と判断した医師の診断には格別の根拠はないとし、
鑑定結果なども考慮し、原告の中心性脊髄損傷を否定した。

そして、14級相当の後遺障害が残ったものと判断した。

【本裁判例の分析】
裁判所は、
①頭部CT、頸椎レントゲン撮影、頸部MRI検査の結果、特段の異常は
認められなかったこと、

②裁判所の鑑定の結果、不全骨折、第一・第九脳神経損傷、中心性脊髄損傷、
両手不全麻痺の各傷病の存在は否定されること、

③原告が受傷後約10日目以降訴えていた症状は、一般にみられる頸椎捻挫に
見られる経過と同様であること

などから(要素②)、原告の各症状は器質的病変に基づくものではなく、
心因反応(不定愁訴)に起因するものと判断した。そのうえで裁判所は、
5級相当と判断した医師の意見を否定し、鑑定結果なども考慮し、14級相当の
後遺障害が残ったものと認定した。

このように本裁判例は、中心性脊髄損傷だからといって、脊髄損傷がそのまま
認められるものではなく、客観的な根拠に基づく必要があるとした。

なお、裁判所は、原告の症状には心因的要因に基づく身体的不調が大きく
関係したことを重視し、症状固定までに生じた損害については20%、
後遺障害による損害については40%を減額して被告に負担させるのが
相当であると判断した。




  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ページトップへ

0120-949-753

このページの先頭へ