裁判例7 大阪地判平成18年4月26日(自保ジャーナル1662号)

裁判例7 大阪地判平成18年4月26日(自保ジャーナル1662号)
年齢 25歳
性別 男子
事故日 平成10年3月14日
事故状況
被告車両が停車中の原告車両に衝突した(衝突により、原告車両は前方へ
約2.2メートル移動し、リアフロアにゆがみが生じた)。

原告の主張する傷害内容   頸髄損傷、胸髄損傷の疑い、
胸椎骨折の疑い、腰部挫傷等
自賠責等級  5級2号
裁判所認定等級等     5級2号、喪失率79パーセント、
喪失期間67歳までの40年間

原告が主張する後遺障害の内容  四肢不全麻痺
被告の主張   本件事故の衝撃そのものから損傷等が発生するとは
考えにくい。

【裁判所の判断】
まず、裁判所は、原告の事故後の経過状況や事故前の原告の生活状況を
詳細に認定した。

その上で、本件事故直後に原告に生じていた意識消失及び反射の異常について、
これらの症状は原告が意図的に作出することは困難であること、
症状が長期間一定しており、当該症状が実際の動作・挙動とも一致していること、
仮に症状を偽っているならば人目につかないところで健康な人と同じ
動作をしている場面を目撃されるなどして症状を偽っていることが
露見してしまうことが多いと考えられるが(後記裁判例20を参照)
そのようなこともないこと、上記事故状況からすると、原告の身体に
対する本件事故の衝撃は小さなものであったとはいえず、他方、軽微な
外傷によって脊髄損傷が生じることはあると考えられるから、本件事故の
衝撃により脊髄損傷が生じる可能性はあったこと等から、頸髄損傷を認めた。

なお、被告からの、原告に「中心性頸髄損傷」が発生していたとするならば、
下肢の脱力を主体とする原告の症状を説明できないとの指摘に対しては、
「非骨傷性頸髄損傷の臨床像の特徴として、一般的に頸髄横断面における
傷害領域は中心部損傷となる頻度が高いことが指摘され、また、麻痺の回復は、
下肢・上肢の順に見られ、手指が最も遅れることが指摘されており、
原告の症状は、これらの点で非骨傷性頸髄損傷の臨床像に合致せず、また、
中高年に好発するという非骨傷性頸髄損傷の臨床像の特徴にも合致しない」
と述べながらも、これらの特徴を有しないからといって、その症例に
脊髄損傷がないとまではいいきれず、この点は、諸事情を総合的に考慮して
判断すべきであるとした。

【本裁判例の分析】
本裁判例は、原告の症状を詳細に検討し、その一貫性から脊髄損傷を認めている
(要素②)。また、仮に中心性頸髄損傷だとした場合には、中心性頸髄損傷で
代表的な症状とのずれが生じているものの、その場合でも事情を総合的に
考慮して判断すべきとし、脊髄損傷の存否を総合的に判断するという立場を
とっているといえる。




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