裁判例6 大阪地判平成12年3月30日(自保ジャーナル第1387号)

裁判例6 大阪地判平成12年3月30日(自保ジャーナル第1387号)
年齢 26歳
性別 男子
事故日 昭和55年7月7日
事故状況   被告運転の自動車に同乗中の原告が、走行中の同車両の
横転単独事故で車外に放り出された

原告の主張する傷害内容   頸髄損傷、第6・第7頸椎椎体骨折等
自賠責等級  8級相当(なお、昭和57年9月2日に8級相当で示談成立)
裁判所認定等級等
神経症状5級2号(上記8級の加重障害と認定)
喪失率34パーセント(5級79パーセントから8級45パーセントを引いた)
喪失期間67歳までの22年間

原告が主張する後遺障害の内容
上記示談成立後に症状が悪化し、右上肢及び左下肢の著しい機能障害、
右下肢全廃、排尿障害及び性機能障害が生じている。

被告の主張
原告は、上記示談後約15年間にわたって治療を受けておらず、
本件事故以外の原因によって症状が現れたのであるから、本件事故と
原告の現在の症状とに因果関係はない。

【裁判所の判断】
裁判所は、原告が、外傷性脊髄空洞症と診断されたこと、X線MRI上で、
第7頸椎~第1胸椎のすべり症の悪化及び外傷性脊髄空洞症が認められたこと、
外傷性脊髄空洞症は、外傷後10年以上経過してから発症してくることが多く、
30年以上たってから発症することもあるため、現代医学では、脊髄損傷後、
何年間かしてから症状が増悪していれば、まず外傷性脊髄空洞症を考えるのが
常識であるとの医師の証言等から、原告は、本件事故が原因で遅発性の
脊髄空洞症を発症し、その結果、上記障害が生じたとして、本件事故との
因果関係を認めた。

【本裁判例の特徴】
上記裁判例は、脊髄損傷を負った場合に、事故後相当の年数が経った場合でも、
脊髄空洞症の発症による症状の悪化との因果関係を認めたことに特徴がある。

この点について、前述大阪地判平成7年3月2日(交民集28巻2号351頁)
でも、「原告の症状経過(特にMRIで脊髄空洞化など神経障害の器質的進行を
窺わせる所見が認められなかったこと)に照らせば、原告が、平成2年8月7日、
心筋梗塞を発症(これが本件事故と相当因果関係のある後遺障害であることを
認めるに足りる証拠はない。)した時点以降は、心筋梗塞の再発防止のため
リハビリテーションを行い難い状況となり、両下肢を運動させないことにより、
筋萎縮が著しく進行して痙性完全麻痺に至ったと認められ、又、前記の
両下肢麻痺の程度の推移に照らしても、右の心筋梗塞発症以降の両下肢麻痺の
悪化については本件事故との相当因果関係を認めることはできず」と
述べており、症状が遅発してもその理由を空洞化等の神経障害の器質的進行を
窺わせる所見によって証明できた場合には、因果関係が肯定されることを
前提としている点が参考になると思われる。




  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ページトップへ

0120-949-753

このページの先頭へ