胸・腰椎の損傷(骨折・脱臼)

(1) 総論
脊椎損傷は、胸腰椎移行部に好発するところ、脊椎損傷の概念については、
Denisにより、脊椎を前・中・後の3つの部分に分けるthree column theoryが
提唱されている(スタンダードp118図1)。

すなわち、前縦靱帯から椎体・椎間板前方までをanterior column、椎体・椎間板
後方から後縦靱帯までをmiddle column、椎弓、椎間関節、黄色靱帯、および棘間、
棘上靱帯などを含む後方組織をposterior columnとし、脊椎外傷を以下の表
(スタンダードp119表1)のように分類した。

胸腰移行部での脊髄損傷では、脊髄損傷は完全でも、残存した周囲の
神経根機能により不全麻痺のようにみえることがある(root escape)ので、
脊髄損傷の判断にあたっては注意が必要である。

(2) 圧迫骨折(compression fracture)
過屈曲損傷で脊椎のanterior columnのみが損傷されるタイプである。
破裂骨折とは、middle columnが損傷されない点で区別される。

(3) 破裂骨折(burst fracture)
脊椎に垂直な軸圧(axial load) がかかってanterior columnと
middle columnに損傷が生じるタイプである。脊柱管内には破裂した
骨片が占拠する。

Denisは、軸圧のほかに、屈曲力、回旋力、及び側屈力が加わると損傷型が
異なることを示し、スタンダードp119図2の5型に分類した。

(4) シートベルト損傷(seat-belt type injury)
過屈曲によりanterior columnが支点となり、脊椎後部に伸展力が加わり
発生する骨折である。

損傷部位はmiddle columnとposterior columnである。1椎間の損傷と2椎間の
損傷とがあるが、Chance骨折(スタンダードp120図3)は前者の代表例である。

(5) 脱臼骨折(fracture-dislocation)
脱臼骨折は、three columnすべてが損傷される骨折で、その受傷機転により
以下3型に分類される(スタンダードp121図4)。

ア 屈曲回旋損傷(flexion-rotation)
屈曲力に回旋力が加わる受傷機転で生じる、脱臼骨折の中で最も多い
タイプである。回旋力により一側上関節突起の骨折を伴う。

through boneのいわゆるslice fractureとthrough the discの損傷に
分けられる。

イ 剪断損傷(shear)
前方から剪断力が加わるantero-posterior(AP) shearと、後方から剪断力が
加わるpostero-anterior(PA) shearがある。

ウ 屈曲伸展損傷(flexion-distraction)
シートベルト損傷と同じ受傷機転で過屈曲により椎体後方部分に伸展力が
加わり、posterior columnが損傷されるが、椎間板の損傷によりmiddle、
anterior columnにも損傷が及び、椎体の脱臼が生じる。回旋力は
加わらないため、椎間関節の骨折は認められない。




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