脊髄の知覚伝導路

(1) 知覚の種類
知覚の分類は、表(馬場p138表1)のとおりである。
表在知覚として触覚、痛覚、温覚が挙げられる。深部感覚として関節覚
(運動覚・位置覚:各部の運動の手足の位置などを認識する感覚)、圧覚、
振動覚が挙げられる。

このうち、触覚は一般に、粗大触覚と微細触覚とに分けられる。粗大触覚は、
触っている部分がはっきりしない触覚を指し、一般に体毛のある部分で感じる。
微細触覚は刺激の局在がはっきりしている触覚で、
無毛部(粘膜、口唇、手掌)で感じる。

深部知覚は、例えば、両足を揃えて立ち目を瞑ったときに、バランスを
崩さないように姿勢を保とうとする際、下肢(特に足底の筋肉や骨膜、足関節、
膝関節、股関節など)からの刺激を大脳皮質が感知して、身体の姿勢や位置を
保持させようとして働くものである。

(2) 脊髄の知覚伝導のしくみ
ア 知覚神経の上行性ニューロン
知覚の神経路は、運動の神経路とは逆に、末梢側すなわち感覚受容器のある
部位から第1次ニューロン運動が始まる。感覚受容器で感知された知覚刺激は、
脊髄の後根を通って脊髄内に入るが、その後の経路は、知覚の種類により
異なる(馬場p140図2、馬場p141図3)。

イ 知覚の種類ごとの神経伝導路
a 温痛覚(馬場p142図4)
温度覚と痛覚は同じ経路を辿る。
四肢や体幹の温痛覚の受容器から伸びた神経線維(第1次ニューロン)は、
後根から脊髄内に入り、脊髄後角で第2次ニューロンとシナプスを形成する。

第2次ニューロンは、1~2髄節上行した後、中心管の前方を通って反対側の
脊髄側索前方に至り、ここを中枢に向かって上行する。この経路は、
外側脊髄視床路とよばれる。

その後、第2次ニューロンは視床に達し、ここで再びニューロンを替え
(第3次ニューロン)、大脳の中心後回にある知覚領野に達する。

b 触覚
触覚を伝える神経線維は、触覚の種類に応じて別の経路を通過する。
四肢・体幹の触覚を伝える末梢神経は比較的太めの神経線維で、Aαとよばれる。
微細触覚を伝える神経線維は、後根を通って脊髄内に入った後、
同側の後索に達し、ここを上行する。そして、延髄下部の後索内で
ニューロンを代えると、反対側に交叉して内側毛帯を上行し、視床に至り、
最後は知覚領野に終わる(馬場p144図6)。

一方、粗大触覚を伝える神経線維は、後根から脊髄内に入ると、
そのまま同側の後角を上行し、数髄節上の同側の後角に達する。
そして、新しいニューロンがここで反対側の前索に至り、この中を上行して
視床に達する(この経路を前脊髄視床路とよぶ)。ここで再び新しいニューロンに
乗り換え、知覚領野に終わる(馬場p144図7)。

c 深部知覚
深部知覚を認識するレセプターは、筋肉の中にある筋紡錘や腱紡錘などと
よばれる。これらのレセプターで認識された姿勢や筋肉の伸び具合、
身体に伝わる振動などの刺激が、AαやAβといった太い神経線維を通って
中枢に伝えられる。

この知覚の上行路は、微細触覚と同じく後索を上行した後、延髄下部で交叉し、
反対側の内側毛帯に入って視床に至る(馬場p144図6)。

ウ 脊髄での知覚伝導路の並び方
前述したとおり、錐体路を下降する神経線維は、例えば頸髄では、
外側から中心部に向かって下肢への繊維、体幹への繊維、上肢への繊維の
順に配列される(馬場p54図4)。

これと同様に、脊髄では、知覚を伝える上行性神経線維も、一定の順序で
配列されている(馬場p145図8)。

例えば頸髄では、温痛覚を伝える神経線維の通路である外側脊髄視床路では、
外側から中心部に向かって、会陰部、下肢、体幹、上肢からの繊維という
順に配列されている。

同じく、微細触覚を伝える神経線維の通路である後索でも、後正中溝から
外側に向かって会陰部、下肢、体幹、上肢からの繊維という順に
配列されている。

脊髄障害時の症状の現れ方によって病巣部位を診断するにあたり、
この配列の理解は大切である。




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