重度後遺障害損害賠償算定例

重度後遺障害の場合の損害賠償の算定例を説明します。
軽度の場合には、ここから損害項目を削れば算定できます。

(中学生、別表第1、1級1号の場合)
16歳の高校生(男子)が交通事故に遭い、植物状態となってしまい、
6ヶ月の入院後に症状固定し(症状固定時16歳)、別表第1、1級1号という
最も重い後遺症害等級認定が下されたケースで損害賠償額を算定してみましょう。

この場合に通常請求できる損害項目は、次のとおりです。

(1) 治療費
(2) 入院付添費(被害者が入院している間に付き添うことに対する費用です。)
(3) 入院雑費(入院することによって発生する洗面用具や軽食等の費用です。)
(4) 損害賠償請求関係費用(診断書や成年後見開始の審判手続費用などです。)
(5) 傷害慰謝料(傷害により肉体的苦痛を受けたこと、入院加療を強いられた
ことに対する慰謝料です。)
(6) 将来介護費(重度の後遺症が残り、その介護を行うことに対する費用です。)
(7) 将来雑費(将来介護に伴い発生する紙おむつ代、タオル代などの費用です。)
(8) 装具・器具等購入費(介護ベッドや痰の吸入器などの費用です。)
(9) 家屋・自動車等改造費(浴室や便所等の改造などの費用です。)
(10)後遺症慰謝料(後遺障害が残存したことに対する慰謝料です。)
(11)逸失利益(後遺障害が残存したことによって、収入が減少するために
失われる利益です。)

ここでは、治療費として800万円、成年後見開始の審判手続を行ったことから
損害賠償請求関係費用として20万円、装具・器具等の代金として300万円、
家屋改造費として800万円を支払ったことを前提とします。

(入院付添費)
ここでは、近親者が6ヶ月間(183日間)付き添ったとします。
近親者付添人においては、1日6500円が目安とされているので、
入院付添費は183日×6500円=118万9500円となります。
なお、場合によっては2人分認められることもあります。

(入院雑費)
1日1500円として、183日×1500円=27万4500円となります。

(傷害慰謝料)
6ヶ月の入院における傷害慰謝料は、傷害慰謝料の表によれば(~P参照)
244万円ですが、植物状態であることを考慮してこれを3割増加し、
317万2000円とします。

(将来介護費)
将来介護費は以下の計算式によって算出されます。
(年間の基準額)×(生存可能期間に対するライプニッツ係数)
近親者付添人の基準額は、1日8000円です。
このケースでは、近親者付添人2人が必要であるとして、1日あたり1万6000円の
請求を行うことを前提とします。

(実際には、親が子の平均余命まで付添をするのは不可能なので、途中から
職業付添人の算定になると思われますが、計算の便宜上このままにします。)

また、症状固定時が16歳であり、このケースの生存可能期間(61年間)
に対するライプニッツ係数は18.98です(~P参照)。
従って、将来介護費は、次のようになります。

1万6000円×365日×18.98=1億1084万3200円

(将来雑費)
将来雑費は、以下の計算式によって算出されます。

(年額)×(生存可能期間に対するライプニッツ係数)
被害者の介護のため、紙おむつやタオルが必要であり、その費用が年間50万円で
あることを前提とします。

ライプニッツ係数は、将来介護費と同じく18.98です。
従って、将来雑費は、次のようになります。
50万円×18.98=949万円

(後遺症慰謝料)
後遺障害等級1級の後遺症慰謝料は、原則として2800万円なので、
この額を後遺症慰謝料額とします。

(逸失利益)
後遺障害逸失利益の計算式は以下のとおりです。

(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数)

被害者は学生ですから、基礎収入としては賃金センサスの産業計・企業規模計・
学歴計の男子平均賃金である年485万4000円とします。

また、1級の労働能力喪失率は100%です(~P参照)。

症状固定時が16歳であり、このケースの労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数は
16.48です(~P参照)。

ここで、生存可能期間(平均余命)と労働能力喪失期間(就労可能年数)とが
異なることに注意して下さい。

従って、逸失利益は、次のようになります。

485万4000円×100%×16.48=7999万3920円
以上の損害額を合計すると請求額が算出されます。

(1)治療費(800万円)
(2)入院付添費(118万9500円)
(3)入院雑費(27万4500円)
(4)損害賠償請求関係費用(20万円)
(5)傷害慰謝料(317万2000円)
(6)将来介護費(1億1084万3200円)
(7)将来雑費(949万円)
(8)装具・器具等購入費(300万円)
(9) 家屋改造費(800万円)
(10)後遺症慰謝料(2800万円)
(11)逸失利益(7999万3920円) 

請求額   2億5216万3120円

事前に治療費などを保険会社から受け取っているときには、それらの合計額を
控除することになります。

また、訴訟の場合は、これに約1000万円の弁護士費用が加算される可能性が
あります。

通常、判決で認められる弁護士費用は認容額の10%程度ですが、金額が高額で
ある場合には、10%という割合が、ある程度減額されることがあります。

死亡損害賠償金算定例(サラリーマン・OLの場合)
死亡事故における損害賠償項目は、次のとおりです。

(1)葬儀関係費
(2)逸失利益(生きていれば得られたはずのお金です。)
(3)慰謝料(被害者本人と遺族の精神的損害に対する慰謝料です。)
(4)弁護士費用(訴訟の場合)
このうち、職業が関係するのは、(2)の逸失利益です。死亡事故の逸失利益の算式は、
(年収)×(就労可能年数に対するライプニッツ係数)×(1-生活費控除率)
でした。サラリーマンやOLは、給与所得者ですから、給与を前提として
「年収」が決まります。

そして、死亡事故の場合には、事故の前年1年間の年収(社会保険料、所得税控除前)
が計算の基礎となります。

具体例で考えてみましょう。
年収600万円の45歳のサラリーマンが死亡事故に遭った場合です。

妻と子供1人がいること、一家の大黒柱であることを前提にします。なお、
被扶養者2人の場合、生活費控除率を30%としました。

600万円×13.163(67歳-45歳に該当するライプニッツ係数)×(1-0.3)
=55,284,600円

一家の大黒柱ですから、死亡慰謝料は、2,800万円とします。

そうすると、損害賠償額は、次のようになります。
150万円(葬儀関係費)+55,284,600円(逸失利益)+2,800万円
(慰謝料)=84,784,600円

訴訟の場合には、これに10%=840万円の弁護士費用が認められる可能性が
あります。

次に、年収400万円の25歳のサラリーマンが死亡事故に遭った場合です。
独身でした。

生活費控除率は50%です。
ちなみに、このサラリーマンは、25歳で年収はまだ低いのですが、
今後昇給する可能性はおおいにあるでしょう。

したがって、30歳未満程度で、平均賃金よりも低い給料の場合には、

全年齢平均の賃金センサスを用いることがあります。
ちなみに、このサラリーマンが大学卒だとすると、賃金センサスで平成16年の
男性労働者大卒全年齢平均賃金は、6,574,800円です。

そこで、これを年収として当てはめてみます。

(逸失利益)
6,574,800円×17.423(67歳-25歳に該当する
ライプニッツ係数)×(1-0.5)=57,276,370円

慰謝料は、2,000万円~2,200万円です。ここでは多めに
2,200万円とします。

そうすると、賠償額は、次のようになります。
150万円(葬儀関係費)+57,276,370円(逸失利益)+2,200万円
(慰謝料)=80,776,370円

訴訟の場合には、これに約800万円の弁護士費用が加算される可能性があります。

次に、年収500万円の30歳OL(独身)の死亡事故です。生活費控除率は、
30%です。

逸失利益を計算してみましょう。
500万円×16.711(67歳-30歳に該当するライプニッツ係数)×(1-0.3)
=58,488,500円

慰謝料は、2,000万円~2,200万円です。ここでは多めに2,200万円とします。

そうすると、賠償額は、次のようになります。

150万円(葬儀関係費)+58,488,500円(逸失利益)+2,200万円
(慰謝料)=81,988,500円

訴訟の場合には、これに約810万円の弁護士費用が加算される可能性があります。




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